2023.12.01
三日月滋賀県知事が「食と農」の特別講義を実施~豊かな食文化を育む滋賀~
2023年11月28日(火)、農学部の客員教授である三日月大造滋賀県知事による特別講義が開催されました。
特別講義のテーマは「豊かな食文化を育む滋賀」。冒頭では三日月知事による講演と、学生との意見交換が行われました。
知事の講演では、神事にも残る「ふなずし」などの発酵文化や「日野菜」「下田なす」といった伝統野菜、滋賀県初となるイチゴの新品種「みおしずく」、農薬・化学肥料は全く使用せずに栽培した近江米新品種の「オーガニック きらみずき」、アニマルウェルフェアの推進等による牛よし、人よし、社会よしの“三方よし”の「近江牛生産」など、滋賀県の多様な「食と農」と、新たな取り組みについて紹介がありました。
琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業「琵琶湖システム」は、千年以上に渡って受け継がれてきたもので、2022年7月に「世界農業遺産」に認定されました。知事からは、琵琶湖システムを未来につないでいくべく、人にも環境にも優しい生産の実現、県産農畜産物の食べ手を増やし、琵琶湖システム魅力発信を統合的に展開を行っていきたいとあり、学生に対して「持続可能な滋賀の農業をどう実現したらいいだろう?」「世界農業遺産認定を契機に滋賀県の農業の多様なファンを増やすために何ができるだろう?」「中山間地域の活性化のために若い世代はどのように関わっていけばいいだろう?」との投げかけがありました。投げかけに対して学生ならではのアイデアが提案され、三日月知事からは前向きに検討を進めていきたいというお言葉を頂きました。
続いて知事と学生とのパネルディスカッションでは、知事との意見交換を行いました。
まずは農学部食料農業システム学科の4回生が「地域資源を活用した循環型農業の可能性」として、みなくちファームを事例に、滋賀県の循環型農業の取り組みと問題提起を行いました。次に同学科3回生が「琵琶湖システムの魅力とその発信」として、琵琶湖システムの歴史や関係者へのインタビューを重ねる中で学生が感じた琵琶湖システムの魅力と、その魅力を琵琶湖博物館のルートマップを作成することで発信していこうとする活動について発表しました。
学生からはそれらの学びをもとに、滋賀県での循環型農業に関する提案や琵琶湖システムの魅力発信を促す提案がなされました。学生からの提案に三日月知事が返答してくださり、滋賀県知事に自分の考えや疑問、思いを直接伝えていくなかで、学びを深める非常に有意義な時間となりました。
授業に参加していた学生からは、「琵琶湖を大切にしながら環境も大事にして農業に取り組んでいて、それを付加価値にするというお話が、滋賀の農業の取り組みの素晴らしさを知ることができました。」「米は滋賀農業の大きな強みであると同時にその多様性の低さが弱みにもなっているとおっしゃっていて、循環型農業のお話も含めて、新たな見方や発見がありとても関心が持てました。」「三日月知事の滋賀をよりよくしようとする気持ち、具体案を聞いて、滋賀県民では無い私も滋賀を盛り上げたいと思いました。」などの意見があがっていました。