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2024.01.09

土壌学研究室(森泉研究室)の学生が土壌肥料学会関西支部会で優秀発表賞を受賞!

 2023年12月7日(木)第119回 日本土壌肥料学会関西支部講演会が行われ、農学部農学科土壌学研究室(森泉研究室)4年生の田渕宏介さん・木下純花さん・伊藤峻さん・芝田旺友さんが優秀発表賞を受賞されました。本学では、初の受賞となりました。

 「最初は研究が上手く進まず、実らない実験が多かったですが、地道に実験を繰り返してきたことが受賞につながったと思います。」と田渕さんは振り返ります。昨年の9月から研究に取り組み、およそ1年半かけた研究成果が実を結びました。

 4名の学生が取り組んだ研究テーマは、『レタス栽培におけるポリアクリル酸Naの難溶性リンの吸収促進効果』。植物の成長に必要な三要素の一つであるリンは、世界中の畑で肥料として活用されています。しかし、リンは土の中で鉄やアルミニウムに吸着し、植物が吸収できない“使えないリン”となってしまう弱点があります。この弱点の対処法として一般的な農法では、“使えないリン”になることを考慮して、大量にリンを投入し、作物が吸収できるようにしています。しかし、これにより、世界のリンは不足し、畑の土壌には大量の“使えないリン”が蓄積してしまい、環境問題となっているのです。

 畑に存在する“使えないリン”を活用する方法は無いか、4名の学生は手探りながら研究をスタートさせました。数十年前に、落花生の根の表面の物質が、“使えないリン”を“使えるリン”に変えられることを、学生達に植物栄養学を教えてくださった阿江教治先生(元神戸大学教授、龍谷大学非常勤講師)が発見していました。さらに、この物質とおむつの素材(樹脂)が類似していることが分かり、それを製造している三洋化成工業株式会社から樹脂を提供して頂きました。そして、土壌中の“使えないリン”を活用したレタス栽培に成功したのです。

 実験では、どのくらいの分量で樹脂を栽培に用いればよいのか未知数だったため、成功するまで、何度も栽培と土壌分析を繰り返しました。「失敗した時に何がダメだったのか、みんなで前向きに話し合えたから最終的に研究がうまくいったと思います」と木下さんは語ります。

 こうして迎えた学会で見事、優秀発表賞を受賞しました。資源循環に配慮した新たな農法を提案できたことが審査員から高く評価されました。4名の学生は「森泉先生や多くの方に支えていただき、この賞を受賞することができました。本当にありがとうございました。」と口を揃えます。

 困難に対して仲間と協力して取り組めたことが、受賞につながったのだと思います。取材中は、本当に楽しそうにこれまでのことを話していただき、充実した学生生活を送れたのだと感じました。卒業後もそれぞれの道で活躍してくれることを願っています!