2024.05.29
「地域産業活性化プロジェクトⅠ(京の老舗と不易流行)」で『京菓子司、鍵善良房15代目当主 今西善也氏』の講演会を実施

経済学部が京都府および「京都老舗の会」の協力を得て実施している授業「地域産業活性化プロジェクトⅠ(京の老舗と不易流行)」(担当:辻田素子教授)に5月16日、「くずきり」で知られる鍵善良房の現当主、今西善也氏をお招きしました。鍵善良房は、祇園四条で約300年もの歴史を紡いできた京和菓子の老舗です。今西氏からは、これまでに直面した苦難への対応、木漆工芸家の黒田辰秋をはじめとする文人墨客との深いつながり、花街ならではの和菓子づくりなどについて、お話いただきました。
鍵善良房が、戦争を挟んだ10数年の休業期間を経て店を再開したのは1955年です。現当主の祖母と母が老舗の暖簾を守り抜き、その事業を現当主は36歳で引き継ぎました。以来、伝統を重んじながらも、現代社会に即した新しい和菓子の世界を提案されています。また、祇園町の路地の一角に、くつろぎの空間「ZEN CAFE」や美術工芸の世界に触れることができる「ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM」もオープンされました。
質疑応答を含め、約2時間にわたって話を聴いた学生らは「海外のブランドともコラボはされるが、大人向けのものに絞られている。目指しているのは拡大よりも存続で、店の雰囲気を変えない範囲で挑戦されているようだ」、「売れなくなったお菓子でも、それだけを求めて買いに来る人がいらっしゃる。廃番にするのか、完全予約制にして残すのかなど、老舗の経営者だからこその悩みを感じた」などさまざまな気づきを得ました。
6月30日(木)には、現当主に案内いただきながら、東山区にある四条本店や美術館などを見学します。学生は鍵善良房の社員や取引先等へのインタビューを重ね、1年後にはその活動成果を書籍にまとめて市販する予定です。
なお、同講義に先立ち、今西氏は、京都府商工労働観光部染織・工芸課の草分隆司課長、藤山大輔係長、志萱紗姫副主査、出版を担当する新評論の武市一幸代表取締役とともに、入澤学長を表敬訪問されました。

