2024.07.18
国の農福連携支援制度を学ぶー農福連携プロジェクト受講生の近畿農政局訪問ー【社会共生実習】
社会学部の「社会共生実習(農福連携で地域をつなぐ―「地域で誰もがいきいきと暮らせる共生社会に向けて」)」(担当教員:坂本清彦 准教授)では、7月12日(金)に近畿農政局(京都市上京区)を訪れ、国(農林水産省)による農福連携支援制度についてお話を伺いました。
農福連携とは「農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組」(農福連携等推進ビジョン https://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/dai25/siryou4-2.pdf)とされています。
国では農林水産省だけでなく厚生労働省など複数の省庁が組織横断的に連携して、全国的に農福連携を推進しています。農福連携プロジェクトの受講生10名は、今回訪問した近畿農政局農村振興部都市農村交流課の方々から、農林水産省が農福連携を推進するための「交付金」(補助金)について説明を受けました。
受講生には聞きなれない用語も交えた説明でしたが、スタッフの皆さんが懇切丁寧に説明してくださいました。たとえば交付金の中でも技術習得などの「仕組み」づくりを支援する「ソフト事業」と、ビニールハウスの導入といった「施設整備」などを支援する「ハード事業」の違いなどを、具体例を交えながらわかりやすく説明してくださいました。熱心なご説明のおかげで、受講生は農福連携推進のための交付金制度の内容や仕組みをおおよそ理解することができました。
さまざまな支援制度について一通りお話をお伺いした後、受講生たちはスタッフの皆さんにさまざまな質問をさせていただき、理解を深めました。たとえば補助金を受ける事業者が満たさなければいけない「要件」や政策目標の設定経緯など、とても専門的、具体的な質問が提起されましたが、スタッフの方々は所管の制度の内容について改めて丁寧に説明してくださいました。
予定の時間を大幅に超えての質疑応答となり、残念ながら打ち切らざるを得なかったのですが、受講生からは「もっといろいろ聞きたかった」との声も出されました。
受講生からは以下のような感想がありました。
●難しい用語も多かったですが、とても丁寧に説明してくださって、自分の中に知識として落としこむことができました。多様な支援の形を知ることができ、視点が広がりました。
●国の政策として行われている農福連携について、障害者等が働きやすい環境整備のための支援に強く力を入れていることがよく分かりました。ソフト・ハードそれぞれ二つの環境整備の支援期間が思っていた以上に短いことに驚きました。また、事業目標で明確な数字で設けられているというのは珍しいという事情も知ることができて良かったです。さらに、農福連携に取り組む主体を新たに3000件創出するという目標も現時点で、あと800件で達成できるということを聴き、そこまで増えていると思っていなかったので非常に驚きました。
●今回農政局へ聞き取りに行き、農福連携の事業について沢山学ばせて頂きました。以前までは、農福連携の目的や仕組みなど、どのような取り組みなのかという根本的かつ表面的な内容を勉強していましたが、今回は農山漁村発イノベーション対策においての主に交付金について中身を深く知る貴重な時間でした。そのため、やはり専門用語も多く、すぐには理解することの難しい内容でしたが、全体像としては大まかに掴めたように感じます。事業目標では具体的な主体数を掲げられていることや、内容でもソフトやハードのどちらも上限2年間など、厳しいノルマが課されている状況を知り、容易な道ではないことを改めて思い知りました。
今回お話をお聞きした補助金制度には、将来、学生たちが民間企業や団体で仕事をする場合でも関わる可能性はあり、制度がどのように作られ、運用されているのか理解しておくことには大いに意義があります。
農福連携プロジェクトでは、今後も農福連携の現場から制度支援に関わる方々まで幅広い関係者にもお話をお聞きして、受講生の理解を深めて行く予定です。
社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。