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2024.08.19

本願寺および一念寺(京都府京都市)にて、お寺が形成してきた文化やまちを学ぶ【社会共生実習】

 社会学部の「社会共生実習(お寺の可能性を引き出そう!―社会におけるお寺の役割を考える―)」(担当教員: 猪瀬優理教授、古莊匡義准教授)は、地域社会におけるお寺の役割と可能性について考えるプロジェクトです。
 例年、前期に教員の企画でいくつかのお寺に行き、お寺の活動を実地で学ぶ実習を行っています。

 その一環として、5/12(日)に浄土真宗本願寺派の本山である本願寺と、本願寺の門前町にある一念寺を訪問しました。

 本願寺では、最初にこども・若者ご縁づくり推進室の畑中阿難様より、推進室の活動についてご説明いただき、その後受講生からも畑中様からも互いに質問を交わしながら意見交換をしました。
 畑中様はお寺に生まれ育ちましたが、一旦はお寺や仏教から距離を取っておられ、その後僧侶となられた方です。そこでまずはご自身が仏教に深く関わることになった経緯を、仏教や信仰と言われてもなかなかピンとこない受講生にも非常にわかりやすくお話いただきました。
 そのあと、1万を超える浄土真宗本願寺派の寺院を統括する本山本願寺の役割や、子ども・若者ご縁づくり推進室の活動理念や活動内容について詳しくお話いただきました。浄土真宗とのご縁のない子ども・若者に阿弥陀仏の願いを伝え、仏教やお寺とご縁をもつきっかけを作りたい、という願いに基づいて、ありのままでいても認められ安心できるような子ども・若者の居場所へとお寺を変えていくために、居場所のない子ども・若者の現状を知ることを含めたさまざまな活動を行っていることをご紹介いただきました。 



 その後の質疑応答の時間には僧侶や仏教、居場所としてのお寺の可能性について、受講生から本質的な問いが投げかけられ、畑中様はそれぞれの問いに丁寧に答えてくださいました。また逆に、畑中様から受講生に、お寺をテーマとするこの実習になぜ参加したのか、受講生にとってお寺とはどのような存在なのかという質問がなされ、受講生が答えました。畑中様にとっても受講生にとっても気づきを得た時間となりました。

 その後、国宝である阿弥陀堂および御影堂を畑中様にご案内いただき、書院の国宝や重要文化財もご案内いただきました。客人をもてなすための書院には、建築当時の最先端の文化や芸能が取り入れられ、客人を楽しませるために襖絵や建物にさまざまな工夫がなされていることを実地で観察できました。受講生のお寺に対する見方も大きく変わったようです。



 午後からは本願寺門前町にある浄土真宗本願寺派一念寺を訪問しました。一念寺では、まず本学社会学部ご出身のご住職の来歴やお寺での活動についてのお話を伺いました。本願寺門前町にある一念寺には長い歴史があり、周辺地域にもさまざまな歴史的建造物があります。実は、本願寺やその門前町は新撰組との縁が深く、ご住職は新撰組に関する場所を案内するまち歩きを実施されています。
 また、一念寺は多くの方に開かれた寺院です。ご住職は門前町の活性化に深く関わっておられ、さらにさまざまな団体が一念寺で、犬猫の譲渡会や子ども食堂など、さまざまな活動を実施しています。このように多岐にわたる一念寺の活動について、わかりやすくお話いただきました。



 その後の質疑応答の時間には、お寺で何かしようと企画するときに大切なことも教えていただきました。何よりも自分がやりたいことや好きなことを企画することが重要で、やりたいことを続けていくことが大切です。ただ、自分一人で頑張ってやろうとするのではなく、やりたいことを続ける中で自然とつながっていく人たちと一緒にやっていくこと、自分がいなくても誰かが支えてくれて続けていけるような活動にしていくことが望ましいと教えてくださいました。

 その後、ご住職のご案内で実際に門前町のまち歩きを行い、新撰組に関する史跡もご紹介いただきました。知らなければ通り過ぎてしまうような場所に、かつての新撰組の痕跡が遺されており、ご住職のお話で当時の様子がありありと表現され、受講生はご住職のお話に引き込まれていました。



 実習を通して、本願寺派の本山である本願寺の歴史や役割、門前町という町のあり方、開かれたお寺の活動について体験的に学ぶことで、お寺の可能性を考えるための視点をさらに広げ、深めることができました。

 本プロジェクトでは、後期に受講生それぞれの興味関心に合わせてグループをつくり、ともに活動していただけるお寺を探していきます。それぞれどちらのお寺でどのような活動を展開してくれるのか、楽しみです。

 社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。