2024.01.24
龍谷大学福祉フォーラム第28回専門セミナー「『子ども期の逆境体験(ACE)』をもつ若者をどう支援するか?~当事者と研究者の視点を交差する~」を開催しました!【REC滋賀】
福祉フォーラムでは、2024年1月21日(日)に第28回専門セミナーを「『子ども期の逆境体験(ACE)』をもつ若者をどう支援するか?~当事者と研究者の視点を交差する~」というテーマで瀬田キャンパス6号館プレゼンテーション室に於いて開催しました。
専門セミナーは、社会福祉実践に関わる専門職やスタッフの方を対象とした講座で、福祉、保健、教育などの現場で 直面する問題についての悩みや解決策を話し合い、専門的スキル向上を目指すことを目的としています。
今回のセミナーでは、ACE(Adverse Childhood Experience)と言われる、子ども時代に虐待やネグレクト,家族の精神疾患や依存症,近親者間暴力などに曝される「子ども期の逆境体験」に関する著書、『ACEサバイバー』(ちくま新書,2023年)の著者である三谷はるよ先生の基調講演からスタートしました。
重要なポイントは、ACEは個人の問題ではなく社会の問題であるということ、そして、生育環境の格差が生涯にわたる多面的な格差につながる可能性が高いということです。
三谷先生からは,18歳になるまでに子どもの帰属意識や良好な人間関係を構築できるポジティブな体験をさす「子ども期の良い体験(PCEs:Positive Childhood Experiences)」を増やしていくことが重要であることが指摘されました。
基調講演に続く実践報告では,精神障害の親のもとで育つ若者の支援に取り組んでいる平井登威さんと,宗教二世の問題に直面している人々の支援に関わっているほほこ(道子)さんから当事者の視点/経験からの活動が紹介されました。この実践報告と基調講演からの気づきを踏まえて、「子ども期の逆境経験をもつ若者をどう支援するか?」というテーマでの意見交換が参加者間でなされて本セミナーを終えました。
参加者からは、「研究成果とともに当事者からの話を伺うことができ深見のある理解と考察の機会を得ることができました」「希望と絶望とが入り混じるようなどうしようもない難しさを感じました。だからこそ多くの子どもが違和感なくアクセスできる学校や本人の潜在的なニーズまで想像しながらアウトリーチ的に関わってくれる支援者の存在の大きさも強く感じました」「私の今後の業務に生かせる話が多くあり,有難かったです」といった感想が寄せられました。
それぞれの暮らしと働きの場で,ACEサバイバーを支えたり,PCEsを増やしていったりする実践を展開していく一助となったのであればと願うばかりです。