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2024.11.18

菅野 拓氏による講演会を開催【法学部】

龍谷大学法学部は10月28日、主に「マスコミ論Ⅱ」受講生らを対象に大阪公立大学准教授の菅野拓さんによる災害をテーマにした講演会を開きました。2024年は元旦に能登半島地震が発生し、「朝市」で知られる輪島市で震度7を記録して大規模火災が起きました。半島では、点在する高齢者中心の集落で今なお上下水道や道路の復旧が進まず、避難所で不自由な暮らしを強いられている人たちが、石川県内に約350人(10月1日現在)もいます。
菅野さんはホームレス支援など弱者をサポートする活動から出発しました。東日本大震災や熊本地震などの厳しい現場に入り、行政とNPO などを結ぶコーディネーターとして活動を積み重ねてこられました。現在は、石川県の馳浩知事のアドバイザーを務めるなど、復興支援に尽力されています。

この日は冒頭、1930年の北伊豆地震と2016年の熊本地震の避難所の写真を示し、戦前と21世紀の避難所が、同じように広い場所に雑魚寝するだけでプライバシーもない点で共通するとし、「なぜ、日本の避難所はいつまでも見知らぬ人の隣で寝るような状態から改善しないのか。日本より経済的に弱く、地震国のイタリアでも、避難所にはワインと温かい料理が提供され、仕切りのある寝床も用意されている」と問いかけました。
個人の生活が犠牲になる避難所が運営される理由として、菅野さんは被災者支援の根拠となる災害救助法は「1947年にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の働きかけで成立した」と指摘。約80年が過ぎ、現在の社会の実情と会わなくなっていると語りかけました。法的な根拠に加え、民間の力を使うことなく、すべてを行政が抱え込んでいる運用にも問題があるとし、「避難所の食事でも、プロの調理人に依頼して国が店の休業補償をすれば、イタリアのような温かい食事も提供できる」と解決法のヒントも提案しました。
受講生からは、法律の面のほか、「学生として被災地に何ができるか」といった質問も出され、菅野さんは「龍大は、ボランティアが積極的に活動してきた実績がある。ぜひ、一度被災地に出向いて実情を体験して考えてほしい」と呼びかけました。