2025.02.12
蛭川雅之教授の共著論文がPeter Schmidt教授(米国ミシガン州立大学)の記念刊行書籍に掲載
経済学部 蛭川雅之教授の共著論文 “DS-HECK: Double-Lasso Estimation of Heckman Selection Model”がPeter Schmidt教授(米国ミシガン州立大学)の長年の計量経済学への貢献を記念して先頃刊行された書籍Advances in Applied Econometrics: Celebrating Peter Schmidt's Legacyに収録されました。
Peter Schmidt教授は確率的フロンティア分析を考案したことで知られ、時系列分析、パネル回帰分析等にも多数の業績を残しています。
本書はEmpirical Economics誌2023年6月の特集号“Special Issue in Honor of Professor Peter Schmidt”を書籍化したものです。本号はPeter Schmidt教授が20余年にわたる同誌の編集業務から退くのを機に企画され、専門家による査読を経た計量経済学の論文25本を採録しています。論文の著者には、2000年にノーベル経済学賞を受賞したJames Heckman教授(米国シカゴ大学)、分位点回帰を考案したRoger Koenker教授(英国ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)、非定常時系列解析で多数の業績を有するPeter Phillips教授(米国イェール大学)など世界的に著名な計量経済学者が名を連ねています。
蛭川教授の共著論文は、前述のHeckman教授が提案した選択モデルが極めて多数の説明変数を持つ場合に2段階推定を実行する手法を提案しています。この状況下で単純なラッソ回帰を実行すると説明変数を過少に選択することが知られており、同論文では、各段階にダブルラッソ回帰を組み入れることにより、欠落変数バイアスの問題を回避し、モデルの一致推定を確保しています。さらに、統計パッケージStata上でこの手法を実装するためのコマンドdsheckmanも開発・公開しています。
【蛭川教授コメント】
以前から複数データに基づくモデル推定と次元縮小の問題を研究しており、この論文では、応用範囲が広い計量手法に後者のアイディアを組み込んでいます。今回高名な計量経済学者ばかりの著者リストの末席に加わることができたのは、「様々な面で幸運に恵まれた」の一言に尽きます。

【書誌情報】
タイトル:Advances in Applied Econometrics: Celebrating Peter Schmidt's Legacy
(※電子書籍、ハードカバーの2種あり)
編者:Subal C. Kumbhakar, Robin C. Sickles, Hung-Jen Wang
出版社:Springer
DOI:https://doi.org/10.1007/978-3-031-48385-1
Hardcover ISBN:978-3-031-48384-4 (Published: 09 January 2025)
ページ数:777+vii