2025.02.18
農福連携事業の「おもや」で味噌づくり体験【社会共生実習】
社会学部の社会共生実習「農福連携で地域をつなぐ―地域で誰もがいきいきと暮らせる共生社会に向けて」(担当教員:コミュニティマネジメント学科 特任准教授 坂本清彦、以下「農福連携プロジェクト」)では、実習先である滋賀県栗東市のNPO法人「縁活」の農福連携事業「おもや」での実習を通じて受講生たちが地域づくりの活動を経験・展開しています。
農福連携事業とは「農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組」(農福連携等推進ビジョン)です。これまで、一般的には障がい者の就労機会の拡大や農業の労働力不足への対応として捉えられてきた農福連携ですが、近年では地域社会の多様な人々をつなぐ契機、地域づくりの一環という認識も広まっています。
農福連携プロジェクトの受講生も、2024年度の活動の中で「おもや」の地元栗東市の大宝神社の朝市への参加や、本学瀬田学舎で「おもや」の農産物や加工品を販売するマルシェの実施を通じて、障がいを持つ人を含む多くの方々とのつながりの意義を学んできました。
その「農福連携プロジェクト」の今年度の締めくくりとして、2月5日に「おもや」の方々と手作りの「味噌づくり」に取り組みました。
「おもや」では、自分たちの農地で収穫した大豆や黒大豆を使ってこの寒い時期に自分たちで味噌を仕込み、利用者・スタッフの昼食や、付設のカフェレストランで提供するお味噌汁に使っています。「農福連携プロジェクト」の受講生は今季最初の味噌の仕込み作業に参加し、スタッフや味噌づくり経験の豊かな利用者さんから、実地に作り方を学びました。

経験豊かな利用者さんの指導で樽に詰めていきます
今回の味噌の材料は大豆と米麹と塩です。通常は「おもや」自前の畑で収穫した大豆で賄うのですが、今シーズンは不作で量が不十分だったため、知り合いの農家さんから自然栽培で生産された大豆も購入して仕込みました。米麹も知り合いの麹屋さんから購入したものを使います。
大豆づくりのプロセス自体はシンプルです。大豆は前の日に数時間水につけてから茹でておきます。翌日の仕込み作業では、まず茹でた大豆を「ミンサー」という機械ですりつぶします。並行して米麹に塩をよく混ぜておきます。すりつぶした豆を塩を混ぜた麹にまぜ、良く混ざったら容器に入れて、空気が入らないように封をし、8月頃まで温度の安定した場所で保存して発酵させます。
基本的にはこれだけのプロセスですが、原材料の配合割合や混ぜ具合、発酵・保存時の温度によって風味が変わってきます。材料を混ぜたり容器に入れる作業を素手で行うと、手についている常在菌の働きによって、また風味が変わるそうです(ただし手はよく洗わないと腐敗につながります)。
シンプルですが、奥の深い味噌づくりです。受講生たちは今年度お世話になった利用者さんとスタッフの方から丁寧に指導してもらいながら、自分で持ち帰る味噌を仕込みました。夏のお盆のころには発酵が進んで食べられるそうです。どんな味の味噌ができるか楽しみです。

おもやで使う分は大きな樽に詰めます

受講生が各自持ち帰るための容器を用意してくれました
「農福連携プロジェクト」は、社会学部が深草学舎に移転する2025年度も引き続き開講します。来年度も圃場での農作業や地域イベントを障がいを持つ利用者さんと一緒に行い、関係者に話を伺うことを通じて、農業や福祉の現状と課題について認識を深めていく予定です。
社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。