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2025.03.03

機械工学・ロボティクス課程の左近拓男教授の研究室のホイスラー合金に関する研究成果が学術論文に掲載【先端理工学部】

機械工学・ロボティクス課程の左近拓男教授の研究室のホイスラー合金に関する研究成果が学術論文に掲載されました。

Takeshi Kanomata, Takuo Sakon, Yuki Nagata, et al. (左近教授は責任著者)
A Review on the Magnetovolume Effect of the Full Heusler Alloys Ni2MnZ (Z = In, Sn, Sb)
フルホイスラー合金Ni2MnZ (Z = In, Sn, Sb)の磁気体積効果に関する研究
Metals 2025, 15, 215 MDPI (Basel, Switzerland) (Impact Factor 2.6)

掲載論文のWebページ

Ni-Mn-Z (Z = In, Sn, Sb) 型ホイスラー合金は磁気体積効果、巨大磁気抵抗効果、巨大磁気熱量効果、形状記憶効果、超弾性効果などの磁気的/力学的高機能性を示す合金である。
本論文の考察により、これらの合金は、スピン揺らぎに基づく遍歴磁性理論で説明されることが証明された。

磁気体積効果:通常の金属は降温により収縮するが、インバー合金と呼ばれる合金では温度を変化させてもほとんど収縮しない。この原因は強磁性状態での自発磁歪により、降温とともに磁気体積が膨張し、その膨張率が熱収縮率と相殺するためである。収縮・膨張しない鉄鋼材料として有望である。
磁気抵抗効果:磁場の印加で電気抵抗が変化する効果。磁気スイッチや磁気メモリの材料として有望である。
磁気冷凍効果:磁場変化により合金が冷却される効果。磁気冷凍材料として有望である。
形状記憶効果:ある温度以下で変形しても、その温度以上に加熱すると、元の形状に回復する合金。本論文で取り上げた合金は、温度だけでなく圧力下や磁場下でも元の形状に回復する。
超弾性効果:通常の金属の場合、巨大な圧力を加えれば元の形状には戻らないが、圧力により巨大な変形を加えても、除荷するだけで元の形状に戻る。
スピン揺らぎに基づく遍歴磁性理論:結晶内を動き回る電子が磁気的な性質(磁性)を決定することを説明した理論。