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2025.03.03

国際女性デーに寄せて(学長メッセージ)

 

 

ジェンダーの課題は人権の課題です。
3月8日は国際女性デー。女性差別をなくし、性別にかかわらず平等な社会参加が実現できる環境を整備し、女性の権利を守る取り組みを広く呼びかけることを目的として、1975年に国連で提唱されました。2025年の今年は50年の節目となります。また、すべての女性の平等と平和の目標を推進することを決意し、教育・経済・政治・暴力防止などの課題を提起した「北京宣言及び行動綱領」(世界女性会議)が採択されて30年となります。

 

この間、さまざまな分野で女性の社会参加が進み、環境の改善が図られてきました。とはいえ、その進捗は遅く、まばらであり、改善されることなく放置されている課題が山積しています。いや、むしろ昨今の経済格差の増大や、他者を排除する風潮から、これまでの取り組みが否定され後退しているのではないかという危惧すら覚えます。SNS等で、「女性の権利を認めることは男性への逆差別」、「日本の伝統的な家庭を守る」といった「正しさ」を装って、ジェンダー平等を否定する発言が繰り返されるのはその最たるものです。私たちは女性の権利を守ることが女性以外を排除することではなく、すべての人の権利を守ることであることを、明確に認識する必要があります。

 

龍谷大学は、「本学に関わるすべての人が差別やハラスメントなどの人権侵害を受けることなく学び、働き、関わり合えることを保障する」という人権に関する基本方針を掲げています。近年では「仏教SDGs」を推進し、諸制度の整備に加え、男女トイレ数のアンバランスの解消や生理用品の無償提供、性別にかかわらず利用できる「だれでもトイレ」の拡充、LGBTQ+などの性的少数者をとりまく課題の解決に向けた取り組み等、環境の整備に努めてきました。
しかし、残念ながら、龍谷大学においてジェンダー平等に向けた取り組みはまだ途上にあり十分ではありません。とりわけ、教員・研究者におけるジェンダーバランスの改善は喫緊かつ重要な課題です。女性教員が少ないことは、我々自身が無意識のうちに女性の選択や成長の機会を制限し排除してきたことによるものにほかならず、学長として忸怩たる思いです。

 

学長任期がまいりましたので、私はこの3月末をもって学長職を退きますが、ジェンダーの課題は新学長が受け継いでくれることになっています。龍谷大学は、公平なキャリア形成の機会を確保し、誰もが安心できる環境を整備し、人権を擁護し互いに認めあう文化を醸成すべく、強い決意とスピード感をもって取り組んでまいります。

 

                     2025(令和7)年3月3日
                         龍谷大学・龍谷大学短期大学部
                           学長  入澤 崇
 

■関連リンク

生理用品の無償提供等に関する取組

 https://retaction-ryukoku.com/837

 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-12743.html

だれでもトイレ、LGBTQ+に関する取組

 https://retaction-ryukoku.com/138

 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-14609.html

 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-15674.html

龍谷大学ジェンダーと宗教研究センター

 https://retaction-ryukoku.com/508

 https://retaction-ryukoku.com/2200