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2025.03.18

龍谷大学矯正・保護総合センター團藤文庫研究プロジェクト『團藤重光日記 1978-1981』を出版

2025年3月18日(火)全国の書店・オンラインストア(Amazonなど)で発売

 

 

【本件のポイント】

  • 東京大学法学部教授、最高裁判所判事、宮内庁参与などを歴任した團藤重光博士(以下「博士」という。)が龍谷大学に寄贈した資料(團藤文庫)中の日記について、初めての翻刻出版 ※下記参照
  • 矯正・保護総合センター團藤文庫研究プロジェクトに所属する15人の研究者が翻刻作業に参画し、充実した註記を付した翻刻
  • 日記には、博士の多彩な交友関係、最高裁判所判事の日常が写し出されているほか、最高裁判所での審理過程の一端がみえる

 

【本件の概要】
 龍谷大学矯正・保護総合センターが保管する團藤文庫の中には、博士が記した日記が多数遺されている。このたび公刊したのは、そのうち最も初期に記された日記である。日記が記されたのは、1978年11月10日から1981年3月29日までで、全て博士が最高裁判所判事を務めていた期間である。最高裁判所判事の在任中の日記が公刊されることは、極めて稀である。
 日記には、最高裁判所判事としての博士の日常が記されている。個別事件の評議の詳細までは記されていないが、事件や審理に対する断片的な感想などが書き留められており、諸事件の審理過程の一端を明らかにする資料となっている。実際、2023年4月にNHKのEテレで放映された「誰のための司法か 〜團藤重光最高裁事件ノート」においては、日記は大阪空港公害訴訟の原告住民に対する博士の同情を示す資料として使用された。最高裁の内部でどのようなことが行われ、判事がどのような思いでいるのかをうかがわせる資料にもなっている。
 また、最高裁内部の一端を明らかにするばかりではなく、最高裁判所判事が宮内庁も含めた政府の諸活動にどう関わっているのか、博士の具体的な行動記録に基づいて感じさせる資料となっている。特に特徴的なのは、博士が昭和天皇をはじめ当時の皇族らとの会話を詳しく書き留めている点である。博士は最高裁判所判事退任後に東宮職参与や宮内庁参与を務めているが、そうなっていく推移を感じさせる。
 日記の翻刻には、矯正・保護総合センター團藤文庫研究プロジェクトに属する研究者15人が協働してあたり、詳細な註記を付すことができた。資料としての利便性は高いものである。法学をはじめ諸分野における研究資料として、このたびの公刊には相当な意義があると考えている。


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書籍情報『團藤重光日記 1978-1981』


問い合わせ先:
龍谷大学矯正・保護総合センター研究フェロー 福島 至
龍谷大学法学部教授 畠山 亮 ryo-ma@law.ryukoku.ac.jp