2025.03.28
濱中新吾教授 原田有一朗氏(令和4年度卒業)との共著論文“Military policy preferences of a conflict-dependent country: A study of Israel’s political use of force”が『日本中東学会年報』第40巻2号に掲載【法学部】
令和4年度に法学部を卒業した原田有一朗さんと濱中教授との共著論文が日本中東学会の機関誌『日本中東学会年報』の最新号に掲載されました。原田さんは在学中、濱中ゼミナールで安全保障問題にまつわるイスラエルの世論を研究していました。濱中教授と原田さんは、政治指導者が支持獲得を目的として戦争指導する「政治的武力行使」がイスラエルにおいて存在するという前提の下、攻撃的手段だけでなくテロリスト侵入を防ぐ国境壁やアイアンドーム(ロケット弾を阻止するミサイル)といった防衛的手段への言及によって国民からの支持を得られるのではないか、と考えました。オンライン・サーベイ実験という手法で2022年9月にユダヤ系イスラエル人3000人を調査したところ、支持獲得に効果があるのはドローン空爆や地上軍投入といった攻撃的手段であり、防衛的手段は遺憾表明と同程度の効果しかないことが判明しました。
『日本中東学会年報』は査読付き学会誌であり、わが国の中東地域研究をリードするジャーナルのひとつです。共著論文は英語で書かれており、出版から1年経過するとJ-Stageにpdfの形で移管され、誰でも無料でアクセスすることができます。原田さんは共同研究の中で仮説の導出、実験デザインとデータの統計分析、先行研究の調査と要約を担当しました。この論文は出版に先立って、日本国際政治学会2022年度研究大会(仙台市)で報告されました。なおこの研究は科学研究費・国際共同研究加速基金[19KK0033]および基盤研究(A)[22H00055]による成果の一部です。