2025.04.28
将基面 貴巳氏による講演会を開催【法学部】
ニュージーランド・オタゴ大学の将基面貴巳(しょうぎめん・たかし)教授が4月21日、法学部の専門科目「マスコミ論Ⅰ」で講演し、「愛国心」という概念の誕生と歴史について解説しました。
政治思想史が専門の将基面教授は、イギリス・シェフィールド大学大学院で博士課程を修了されました。現在は、ニュージーランド最古の大学であるオタゴ大学で歴史学の教鞭をとっておられます。『ヨーロッパ政治思想の誕生』(名古屋大学出版会)が、将来性豊かな若手研究者を顕彰するサントリー学芸賞を受賞し、近年は研究と合わせて一般向けに『反逆罪』(岩波新書)『愛国の起源』(ちくま新書)などを刊行し、個人が国家に対してどのように向き合うべきかを問うています。将基面教授は、「マスコミ論」担当の内田孝非常勤講師と面識があり、一時帰国の多忙なスケジュールの合間を縫って登壇されました。
「マスコミ論」は毎年、通年のテーマを決めたうえで日々のニュースを取捨選択し、各メディアによる報じ方を比較して考える授業です。2025年が「戦後80年」「昭和100年」に当たることから、本年度は国家や戦争を報じた事例も教材とする予定です。前週の授業で、内田非常勤講師が将基面教授の「愛国」を巡る研究と主な著書を紹介し、受講生は事前質問を提出したうえで授業に臨みました。
冒頭、将基面教授は「みなさんが『愛国』という言葉から連想される意味合いは、いったん脇に置いておいてほしい」と前置きしました。そのうえで、ニーチェら哲学者の思想なども引用し、西欧での「愛国心」がどのような背景から生まれたか、21世紀の日本とは異なる意味合いと共通する部分をそれぞれ示し、言葉の定義付けの難しさと大切さも合わせて説きました。
解説後には受講生から質問が寄せられる一方、将基面教授が受講生に「大学入学までに学校で『愛国心』を意識する機会はなかったか」と問いかけました。さまざまな発言に対して教室全体で耳を傾けるよい機会となりました。