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2025.05.19

地域のハブとして機能する一念寺(京都市下京区)から学んだ「お寺ができること」とは【社会共生実習】

 社会学部の「社会共生実習(お寺の可能性を引き出そう!―社会におけるお寺の役割を考える―」)」(担当教員:猪瀬優理教授、古莊匡義准教授)は、お寺の社会活動に参加しながら、地域におけるお寺の役割と可能性を考えるプロジェクトです。

 例年、前期には教員の企画でいくつかのお寺に行き、お寺の活動を実地で学ぶ実習を行っています。その一環として、5/17(土)に浄土真宗本願寺派の本山、本願寺の門前町にある一念寺を訪問し、谷治暁雲さん(一念寺 住職)よりさまざまなお話を伺いました。


一念寺


ご住職 谷治暁雲さん

 一念寺では、さまざまな活動が展開されています。ご住職は本学社会学部で福祉を学ばれた方でもあり、子ども食堂や地域の小学生の放課後サポートなど、地域福祉には特に力を入れておられます。印象的だったのは、お寺で活動のすべてを運営するのではなく、子ども食堂を実施する外部の組織の方々が運営したり、地域のお寺で協力したりと、外部のさまざまな人々や組織を受け入れながら、一念寺が地域のハブとなって継続的な活動を維持することを心がけておられることでした。

 また、ご住職は本願寺門前町の活性化のために尽力されています。西本願寺や門前町にとっては「敵」であった「新撰組」をコンテンツとしてまちおこしを企画されたり、門前町の方々とゆるキャラ「おりんちゃん」を作り上げて活動されたりと、さまざまな活動に参画されています。門前町地域の商店だけでなく、行政や議員さんとも連携しながら、地域をつなぎ、地域に開かれた公共的な場としてのお寺を目指されています。ご住職のお話からは、地域の人々との広く深いつながりから、さまざまな活動のアイデアがあふれ出してきました。一念寺の活動の多様さにも納得のお話でした。

 お話を伺った後に、ご住職には実習生からの質問にも丁寧にお答えいただきました。少子高齢化が進む現在、地域でお寺ができることは何か、という質問に対し、地域のなかにあるお寺は、宗教の型にはまらずに、さまざまな人が出入りする開かれた公共的な場となるべきだと強調されました。そして、地域のなかで暮していると当たり前だと感じていたことが、実は地域以外の人にとっては「コンテンツ」になることがあり、そのような「コンテンツ」を地域の外にいる人を交えながら見つけることが地域活性化につながる、と教えていただきました。

 実習を通して、門前町という町のあり方や、開かれたお寺の活動について体験的に学べただけでなく、お寺の可能性や地域との関わり方を考えるための視点を広げることができました。


お話を伺う受講生たち

 本プロジェクトでは、後期に受講生それぞれの興味関心に合わせてグループをつくり、お寺の新たな可能性を見出すべく、さまざまなお寺とともに企画を実施したり、探究活動を深めていきます。今回の実習での学びを生かして、今年度の受講生がどのような活動を展開してくれるのか、楽しみです。

社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】​をご覧ください。