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2025.06.02

「国際協同組合年」に、協同組合について学ぶ  <京都生協の髙倉通孝専務理事に講演いただきました>

 2015年は国連が定める「国際協同組合年」です。2012年に続いて2回目となり、協同組合が果たしている社会的な役割を重視し、その認知度を高め振興するための取り組みが行われています。
 しかし、経営学部では協同組合について学ぶ機会はほとんどありません。そのようなもとで、「株式会社論」では5月28日、「さまざまな企業形態を学ぶ」という位置づけで、京都生活協同組合の髙倉通孝専務理事にご講演いただきました。
 今日の経済・社会において株式会社は大きな存在感と影響力を有していますが、生協、農協(JA)、信用金庫などの協同組合も重要な存在となっています。協同組合について学ぶことは、株式会社についてより深く認識する点でも欠かせないことと言えます。
 髙倉専務は、国際協同組合年と世界の協同組合の概要、協同組合と株式会社との経営の原理の違いについて話された後に、京都生協の組織や事業について詳しく説明されました。現在、取り組んでいる「京都生協ファンを増やす」「組織改革」という課題は映像も用いながら紹介されました。




 以下、受講生の感想を紹介します。

 講義を通して、生協は株式会社とは根本的に異なる「人のためのしくみ」だと感じました。株式会社が利益を追求し、株主のために動く組織であるのに対し、生協は組合員一人ひとりが主役であり、「自分たちの暮らしをより良くする」ことを目的とした非営利の協同組合です。
 特に感銘を受けたのは組合員が出資し、利用し、運営に参加するという三位一体の仕組みです。声を上げれば組織が動き、日々の生活に本当に必要なものが届く、このような仕組みがあること自体がすごいと思いました。
また株式会社が経済合理性を重視する一方で、生協は「頼もしき隣人たらん」という理念のもと、地域社会への思いやりとつながりを大切にしている点も印象的でした。特に移動店舗や見守り活動など、高齢化や人口減少に真正面から向き合っている姿勢に、単なる小売業を超えた社会的意義を感じました。
 デジタル施策や若年層へのアプローチなど、時代の変化にも柔軟に対応しようとしている点も心強いです。経済の持続可能性と、人と人とのつながりの両立を目指す生協は、まさにこれからの社会に必要な存在だと実感しました。
 株式会社の論理では見過ごされがちな“地域で生きる人々の暮らし”を支える生協。これからもっと注目され、若い世代にも関わってほしいと心から思いました。

 他の学生からも、「大学以外にも生協があることを初めて知った」「生協がいろいろな活動をしていることに驚いた」「株式会社との違いがよく分かった」など、率直な感想が寄せられました。今回の講演は受講生にとって貴重な学びの機会となりました。
                                 (文責 細川孝)