2025.06.13
日本航空(JAL)との連携授業「心理学の職業的展開」-【心理学部】
心理学部2年生対象のキャリア啓発科目「心理学の職業的展開」では、大学や心理学部での学びを実社会でどのように活かしていくのかを考えながら、受講生が自ら課題を発見し、解決する力を養うことを目的に、企業との連携による実践的な課題に挑む産学協働型の授業を展開しています。
第1ターム(4月・5月)は、日本航空(JAL)様にご協力いただき、「今の時代に、組織で働く人々が“働きがい”を感じられる要因とは何か?」というテーマを設定。JALグループの企業理念「全社員の物心両面の幸福の追求」を念頭に置きながら、各グループが約4週間にわたり検討を重ねました。
6月5日(木)には、今年4月に竣工した慧光館の教室にて、日本航空の菅 優一郎様をお迎えし、学生8チームによるプレゼンテーションが行われました。各チームは、授業で学んだ心理学的視点を活かしながら、「働きがい」をテーマにした多角的な提案を発表しました。
発表を通して、各グループから共通して「褒める」「褒められる」「感謝する」「認められる」といった言葉が多く挙げられ、“働きがい”の認識は、何に価値を置くかによって異なることが分かった一方で、物質的・心理的の両面からの充足を求めるという点では、多くの学生が共通した視点を持っていることも浮き彫りとなりました。
日本航空の菅 優一郎様からのフィードバックでは、「学生たちの提案は、企業の現場でも十分に活用できる内容だった」と高く評価されました。菅様は、社会人になってから心理学の有用性に気づかれ、大学院に通われた経歴をお持ちで、心理学を実践で活かされている方です。
ご自身の経験を踏まえた講演では、
・心理学と直接関係がない経験も、将来的には大きな糧となること
・現代社会では『働きがい(心)』と『経済成長(もの)』の考え方が融合し、単なる利益追求ではなく、“人の成長”が重視される時代へと移行していること
・今後は、「心理的成功(心)」がキャリアの鍵となり、個々の成長がより重要になること
といったメッセージが伝えられました。
特に印象的だったのは、「心理学が活躍する場面はカウンセリウングだけではない」という視点です。心理的知見を持つ人材は、企業においても人と組織の在り方を支える重要な存在として、今の時代だからこそ強く求められている――そのことを、菅様の実践や語りから学生たちは実感することができました。
今回の授業を通じて、学生たちは心理学の学びと社会との接続を具体的に実感し、新たな視点や気づきを得ることができました。現在は第2タームに入り、別の企業からの新たな課題に取り組みながら、引き続き専門的な学びと実社会の橋渡しを目指した産学連携の学びを進めています。