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2025.06.30

大久保翔平講師の共著論文「アヘンから砂糖を作る」が、歴史学(経済史含む)の分野で著名な国際学術誌『Past & Present』(オックスフォード大学出版局)に掲載【経済学部】

経済学部の大久保翔平講師と北京大学歴史学部の徐冠勉(Xu Guanmian)助教授との共著論文「アヘンから砂糖を作る:近世東南アジアにおける麻薬プランテーション体制」が、歴史学分野で最も著名な国際学術誌の1つである『Past & Present』(オックスフォード大学出版局)に掲載されました。

グローバル経済の歴史において、砂糖が消費社会や貿易の発展に果たした役割はよく知られています。本論文では、大西洋世界における奴隷労働による砂糖プランテーションと対照的に、近世東南アジアのジャワ(現在のインドネシア)でアヘン依存を利用して労働力を支配する「麻薬プランテーション体制」が成立した過程を解明しています。江戸期の日本やインド、西アジア、オランダなどに広く輸出されていたジャワ産砂糖がどのように生産されていたのか、またアヘン戦争以前のアジアでアヘン消費がどのように変化していったのか、多くの新たな視座が示されています。

【大久保講師コメント】
2019年にオランダのライデン大学で知り合った友人との共同研究を、5年がかりでようやく形にすることができました。私たちは共に博士課程でオランダ東インド会社期のバタヴィア(現ジャカルタ)を研究対象としており、友人は砂糖プランテーション、私はアヘンの流通・消費に関心を持っていました。
本論文では、砂糖生産とアヘン消費の関わりを解明し、依存が生む経済的利益と社会的弊害の間で何が起こったのかという歴史の一部を示すことができました。この歴史的事例は、現在も社会の様々な場面で見られる「依存性のある消費(Addictive Consumption)」をめぐって、利益と弊害の間で政府や社会、個人はどうすべきなのかを考えるきっかけになると考えています。

【論文掲載情報】
•    雑誌名:Past & Present(オックスフォード大学出版局)
•    英文タイトル:Making sugar out of opium: A narco-plantation regime in early modern Southeast Asia
•    掲載ページ(Web of Science):論文詳細はこちら
•    著者:徐冠勉(Xu Guanmian)助教授(北京大学)、大久保翔平 講師(龍谷大学)