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2025.07.14

<潘ゼミ>マツダ株式会社 購買本部長・大原秀隆様による特別講演【経営学部】

 2025年6月23日、潘ゼミでは、マツダ株式会社の購買本部長の大原秀隆様*をお招きし、ご講演をいただきました。今回の講演には、潘ゼミ所属の2回生・3回生をはじめ、一部の1回生や国際基督教大学からの参加者も交え、企業の実情や現場の声に直接触れる大変貴重な機会となりました。


 潘ゼミでは現在、『ベーシックプラス 技術経営』(原拓志・宮尾学編、2017年、中央経済社)を輪読しており、「企業や社会の便益を高めるために、技術をどのように管理・活用するか」というテーマについて学んでいます。しかし、電気自動車などの先端技術の話になると、教科書だけでは現場の実態がつかみにくく、「実際の企業ではどうしているのか?」という疑問を多くの学生が抱いていました。

 そうした中で行われた今回の講演は、まさにそうした疑問を解消する絶好の機会となりました。私たちは事前にマツダについて調べ、チームで質問を出し合いながら、教科書の内容と現実とをつなぐことを目指して臨みました。

 講演の前半では、大原様が自動車業界の現状やマツダのEV(電気自動車)戦略、グローバル展開、生産方式などについて、私たちの質問に一つひとつ丁寧に答えてくださいました。理論だけでは見えてこなかった「企業が現実をどう捉え、どのように技術を活かしているか」が明快に語られ、学びが一気に立体化した感覚がありました。

 また、大原様ご自身のキャリアについても率直にお話しいただき、「入社して良かった点」だけでなく、「実際に苦労したこと」や「働く上での葛藤」についても包み隠さず語ってくださいました。大企業に対する漠然としたイメージが、現実的で具体的な姿に変わり、今後の進路を考えるうえで多くの示唆を得ることができました。

 講演を通じて特に印象に残ったのは、マツダが掲げる「意志あるフォロワー戦略」についてのお話です。これは、バッテリーEVの市場において先頭に立つのではなく、世界各国の需要や政策の違いを見極めながら、着実に対応していくという戦略です。急激なEV化はむしろリスクがあるという考え方は、これまでの「EV化=急ぐべき」という印象とは異なり、企業ごとの判断基準や戦略の多様性について深く考えさせられました。


 講演後の学生の感想からは、多くの学びと気づきがあったことがうかがえました。
 ・トヨタや日産とは異なる、「意志あるフォロワー戦略」などを通じて、自動車産業全体を見渡し、一歩引いて調和を図りながら成長していく姿勢が印象的でした。
 ・過去の挫折を経て、自動車づくりの本質に立ち返り、独自の価値観やこだわりを持って経営を再建したことが今のマツダらしさに繋がっていると感じました。
 ・今後のグローバル時代において、文化の違いを理解し、相手を尊重する姿勢が重要だと気付きました。
 ・今回の講演を通して、大企業のメリットだけでなく、昇進のペースが遅くなり、気づかぬうちに会社にぶら下がってしまうというデメリットもある、という話はとても考えさせられました。
 ・今回の大原様の講演から、どんな職場であっても働く上でチームワークは欠かせないと学びました。お互いに信頼し合い、仲間意識を持って協力することで、大きなプロジェクトや日々の業務もやり遂げることができるのだと実感しました。  
 ・教科書だけでは得られない「現場の声」に触れたことで、これまで難しく感じていた技術経営の学びも腑に落ち、自分たちの学びの意味がより明確になったように感じています。

 大原様のご講演を通して、企業の実情、戦略、そしてキャリア形成について多くの学びを得ることができました。今回の貴重な経験を今後の学習や進路選択にしっかりと活かしていきたいと思います。改めまして、大原様に心より御礼申し上げます。

*所属および役職は、講演時点での情報となっております。
(文責 経営学部2年生 上西亜依・田中丈士・藤野真帆・古澤望愛)