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2025.07.29

修士課程学生がスポーツ栄養学における新たな知見を発表 ― ボート競技における重曹摂取の経皮・経口比較で優秀発表賞を受賞 ―

龍谷大学農学研究科修士課程2年の桑坪 彩衣さんが、6月21日に開催された「第42回日本微量栄養素学会学術集会」において、ローイング(ボート)競技における重炭酸ナトリウム(重曹)摂取がパフォーマンスに与える影響に関する研究成果を発表し、優秀発表賞を受賞しました。

この研究は、食品栄養学科の谷口 祐一准教授の前任校で指導されていた学生の卒業研究を、桑坪さんが引き継ぎ、学会発表として取りまとめたものです。血糖値や乳酸値などの生理指標をもとに、経口摂取と経皮摂取(クリーム塗布)の効果を比較検証しました。

研究では、大学のボート部に所属する男子学生15名を対象に、重曹を経口または経皮で摂取したうえで、ローイングエルゴメーターを用いた高強度の運動を実施し、パフォーマンスや疲労指標、胃腸不快感の発生率などを測定しました。

その結果、経口摂取では約6割の被験者が胃腸不快感を訴えた一方、経皮摂取では1割未満にとどまり、摂取方法による生理的反応の違いが示されました。一方で、パフォーマンス指標については有意差が見られず、「今回の条件下では、重曹の摂取がパフォーマンス向上につながる可能性は低い」と結論づけました。

桑坪さんは今回の発表について、次のようにコメントしています。

「重曹とパフォーマンスの関係には、まだまだ分からないことが多くあります。今後も疑問を大切にしながら研究を進めていきたいです。ボート競技という限定された分野でも、新しい知見を得るためには、視点を変えることが大切だと感じました。」

さらに後輩に向けては、次のようなメッセージを寄せてくれました。

「何でも受け身で『そういうものなんだ』と決めつけるのではなく、『なぜ?』『どうして?』と問い続ける姿勢を大切にしてほしいです。日常の当たり前や、当たり前とされていることにこそ、研究の種が隠れています。小さな疑問を見逃さずに、一歩踏み込んで考え続けることが、新しい発見につながります。ぜひ、身近なことに目を向けて、自分だけの問いを大切にしてください。」

桑坪さんの今後のさらなる活躍を心より期待しています。