2025.08.04
2025年度 アカデミック・スカラシップ奨学生(在学採用型)授与式を実施(大宮)
本学では、学部2~4年次生の学業成績・人物が特に優秀な学生を対象に「アカデミック・スカラシップ奨学生(在学採用型)」の制度を設けています。
2025年度採用された3・4年次生を対象に表彰状授与式が、大宮学舎本館講堂にて2025年7月4日(金)に実施されました。大宮学舎では文学部長の安藤真次郎先生から、賞状の授与と祝辞がありました。
賞状授与後の安藤真次郎 学部長祝辞
『アカデミック・スカラシップ奨学生に選出され、奨学金を授与されることになったみなさん、おめでとうございます。
本奨学金は、GPAをもとに総合的に選出されており、皆さんのこれまでの学業成績が高く評価されてこの度の授与につながりました。入学時から努力を怠らずに学びを続けてきたからこその結果だと思います。今後の更なる活躍に期待しています。そして今、手元の賞状にもある通り、「他の範」となり、これからも多くの仲間たちによい刺激を与え続けてください。
「他の範」となるという点から、一つのお話しさせていただきたいと思います。私の研究分野はスペイン思想史で、特にルネサンス人文主義教育をテーマにしております。ルネサンス人文主義教育では、古代ギリシア・ローマの教育に倣い、レトリックと道徳哲学という学問が重視されました。レトリックでは「よく話す術」を学び、道徳哲学では「よき人間」になることを学びます。それはVir bonus dicendi peritusというラテン語にまとめられ、意味することは「弁説に長けたよい人」で、人間は学問を習得しただけでは十分ではなく、学んだ知識・技能を人に伝え、隣人や社会に役立てなければならない。そして人としても立派でなければならないということです。
この自分の知識・技能を人に効果的に伝える術がレトリックです。日本ではレトリックということばは「修辞学」と訳され、文学的側面に限られることが多いですが、西洋ではもっと広く政治社会活動のツールとして人を効果的に説得する術とされています。そしてそこで必要とされるのが、エトスという「話し手の人格」であり、ロゴスという「話の論理性」、そしてパトスという「聞き手の感情」です。信用のない人の話を誰もまともには聞いてくれません。筋の通らない話は通用しません。そして専門的な話を専門用語を使って一般の人に話しても理解してもらえません。聞き手が誰かを意識し、わかりやすく話す必要があります。「他の範」になり、自分の知識・技能を人に伝えるには、エトス、ロゴス、パトスが大切となるのです。
奨学生の皆さんには、今後も自己研鑽を積み、今よりもさらに信頼され、今よりもさらにわかりやすく話し、今よりもさらに相手を理解するように努めていただけたらと思います。そしてみなさんの学んだことを人のため社会のために役立てるようにしてください。 みなさんのこれからの更なる活躍を期待しております。
本日は、誠におめでとうございます。』
奨学生には給付対象者となったことを励みに、より一層の飛躍を期待しています。