2025.09.16
学生レポート・EXPO2025 大阪・関西万博のドミニカ共和国パビリオンインターンシップ【R-Globe】
EXPO2025 大阪・関西万博のドミニカ共和国パビリオンインターンシップに参加した学生のレポートを紹介します。
〈万博開催前〉
2月末にポータルを通じて学内選考に応募しました。その後ドミニカ共和国大使館に英文履歴書を提出し、翌週に英語による面接を受けました。ドミニカ共和国の公用語がスペイン語なので、スペイン語を話せる人はスペイン語での面接でした。
3月末に合格通知がメールで届き、オンラインでのオリエンテーションにて展示物や勤務内容、シフト等インターンシップ生のresponsibilityについての説明がありました。
4月の初めに万博会場へ実際に赴き、ドミニカ共和国パビリオンを見学しました。この時に制服などが支給されました。
〈ドミニカ共和国パビリオンの様子〉
ドミニカ共和国パビリオンのテーマは“Hyperconnected”で、どのように「世界との積極的なつながりを築いているか」を紹介しています。万博会場のCommons Bに位置し、パビリオンはカリブ海の美しい色を象徴するかのような濃紺が基調となっています。2つのブースがあり、文化や歴史などを紹介するパビリオンスペースと、商業などにかかわるものを展示するコマーシャルスペースから構成されています。
パビリオンスペースには鮮やかなカーニバルの衣装が展示されています。ドミニカ共和国では毎年2月にカーニバルが行われ、各地でパレードを見ることができます。展示されているのは、黄・ピンク・青・の3種類の衣装です。黄色い衣装は、角の生えた仮面が特徴の「ディアブロ・コフエロ」で、持っているロープの先についた球で叩かれると幸運が訪れると言われています。ピンクの衣装は、実際に現地で賞を取ったLechón de fantasíaで、無数のスパンコールで覆われています。青い衣装は、SDGsがテーマの「エコロジカル・ディアブロス(エコの悪魔)」で、歯ブラシやスプーンなど再生プラスチックでデザインされています。どれもとても豪華で来場者の注目を集め、写真撮影の人気スポットになっていました。その他にも、多様性を象徴する顔のない人形、野球に関する展示や先住民タイノ族の工芸品、アーティストPatricio Correaによる魚のオブジェが飾られています。
コマーシャルスペースでは、チョコレートや葉巻、コーヒー豆にラム酒、無形文化遺産に登録されているタイノ族主食のカサベ、ドミニカ共和国のみで発掘されるラリマーや琥珀のアクセサリー、さらにドミニカ共和国のブランドのレザー用品やスキンケア用品を紹介しています。
そして、JICAのArtist in Projectの一環で、ドミニカ共和国の伝統服チャカバーナをモデルの谷さんが着物と組み合わせてデザインした和チャカバーナや、フレグランスデザイナーHARUNAさんが創りあげたドミニカン・シグネチャーフレグランスも展示されています。





〈開催中の活動〉
主にコマーシャルスペースにて勤務していました。来場者への展示の説明やドミニカ共和国の紹介、Commons B全体のスタッフとの連携などが主な業務でした。最初は緊張もありましたが、来場者の方とお話するのはとても楽しく、ドミニカ共和国に行ったことのある方がその思い出を共有してくださったり、小学生から折り紙のミャクミャクをもらったり、様々な国の様々な人と交流することができました。質問に対して十分に説明できず困った時もありましたが、ドミニカ共和国のスタッフがサポートしてくれました。展示品に対する私の説明に「ありがとう」と言ってもらえると本当に嬉しく励みになりました。
また、言語の橋渡しを行う場面もありました。日本のスタッフからの伝達事項をドミニカ共和国のスタッフと共有し円滑なコミュニケーションが図れるよう務めました。さらに、日本の来場者の方とドミニカ共和国のスタッフの会話がスムーズに進むよう通訳をすることもありました。
コマーシャルスペースでのコーヒーとチョコレートのGive Away Eventにも携わりました。ドミニカ共和国のコーヒーの特徴や産地についてのミニレクチャーの後、実際にコーヒーを試飲してもらいます。最初は説明するだけで精一杯でしたが、問いかけを増やすなど工夫し、来場者の方々から反応をいただけるととても嬉しく自信に繋がりました。ドミニカ共和国の魅力を発信するお手伝いができたと感じられ充実した経験となりました。
さらに、ドミニカ共和国は、様々なイベントを企画していました。
June 5, A Sip of Latin American and Caribbean Coffee & Cacao
June 16, Hyperconnected Home Run: Connecting the Dominican Republic to the World through Baseball with Hiroshima Toyo Carp
July 7, Hyperconnected Home Run” in collaboration with the Hanshin Tigers
August 23, National Day
私は野球のイベント、“Hyperconnected Home Run”の際、会場の運営のサポートに努めました。ドミニカ共和国において野球は非常に人気のあるスポーツです。世界的に活躍する選手が数多く生まれています。日本のチームにもドミニカ共和国の選手は多く、イベントでは広島カープや阪神タイガースに所属する選手と来場者が交流する機会が設けられました。写真会や質問コーナーが行われ、多くの子どもたちが参加しにぎやかで楽しい交流になりました。参加者からスペイン語のありがとうやあいさつの言葉を尋ねられることもありました。私がその表現を伝えると「Hola!」「Gracias」などすぐに使ってみてくれて、お互いに笑顔になる様子をみて、直接相手とやり取りする交流の大切さを間近で実感することができました。
8月23日に開催されたNational Dayでは、三澤関西担当大使、ホセ・イグナシオ・パリサ大統領府大臣が式典に出席され、ドミニカ共和国の日系コミュニティや野球を通じての交流について述べられていました。
その後はパレードやコンサートが催されました。ドミニカ共和国の国旗の赤、青、白の3色でデザインされた華やかな衣装とカーニバルのリズミカルな音楽は誰をも楽しませていたと感じました。
私は来場者の座席誘導や会場の準備などの裏方の業務を手伝いました。National Dayには、パレードやコンサートを見てくれた来場者の方々がパビリオンを訪れ、「とても素敵だった」「ドミニカ共和国のことをもっと知りたくなった」と声をかけてくださいました。イベントが来場者の方々に新しい発見や感動、学びをもたらしていることを実感し、自分自身もその一端を担えたことに大きな喜びと達成感を覚えました。
大きなイベントの運営に携わったことで、準備の大変さを実感しチームで協力することの大切さを学ぶことができました。


〈活動を振り返って〉
万博でのインターンシップを通じて、英語で連絡や相談をする機会が多く色々な表現を吸収でき、語学の向上に繋がりました。また、Commons Bには26ヵ国のパビリオンがあり、私が今まで馴染みのなかった国の文化などをその国のスタッフが教えてくれたり、お互い1日の仕事を労い合ったりと交流することができました。一方で、自分の英語力の拙さに落ち込むことも多く、ドミニカ共和国のスタッフと日本の来場者の方との通訳をした際には、会話の中に出てくるそれぞれの文化的背景や習慣などを相手にどのように説明したらよいか戸惑い、歯がゆい思いをしました。ですがこの経験がこれからもたゆむことなく英語を勉強していこうという意欲に繋がりました。
働くなかでドミニカ共和国のことを知っていくことができました。自然溢れる国であること、メレンゲやバチャータなどの情熱的な音楽、コーヒーやチョコレートのおいしさ、美しいラリマーなどドミニカ共和国の魅力をたくさん学ぶことができました。ドミニカ共和国の文化の特徴は、先住民族のタイノ族、スペイン、ヨーロッパの文化、またアフリカ文化の融合がみられるところだと私は思います。また、スタッフの皆さんがとても親切でいつも明るく、私の質問に対してもいつも丁寧に教えてくれて、励ましてくれました。
万博インターンシップを通して、世界にはまだまだ私の気づいていないことや知らないことがたくさんあると感じました。ドミニカ共和国へもいつか必ず行ってみたいです。これからも英語や自身の研究分野を勉強していくにあたって何事も積極的に取り組み、さらに視野を広げていきたいと考えています。(文学部 K.T)

