2025.10.09
相談意欲の低い来談者にどう向き合うか―解決志向アプローチをテーマにシンポジウムを開催―
<援助職の方を対象に、10月26日(日)13:00より龍谷大学大宮キャンパスにて>
【本件のポイント】
- 10月10日は「世界メンタルヘルスデー」。厚生労働白書でも注目される「こころの健康」をテーマに、相談意欲の低い来談者への支援方法を考えるシンポジウムを開催
- 解決志向アプローチの専門家による講演と、司法・児童相談・教育現場など多領域の実践者が議論を展開
- 援助職(公認心理師・臨床心理士など)を対象に、援助の新たな可能性を共有
【本件の概要】
いきいきと自分らしく生きるための重要な条件である「こころの健康」が注目される中、「令和6年版厚生労働白書」(※1)では平成13(2001)年の白書発刊以来はじめて、「こころの健康」が特集テーマとして掲げられました。背景として、精神疾患を有する総患者数は約615万人、外来患者数は約586万人で過去最多となっている状況があります。また全ての年齢階級において外来患者数が増加傾向にあり、ライフステージ全般を通じて「こころの健康」と向き合うことが必要とされています。
しかしながら、支援現場に来談される当事者やご家族は、必ずしも相談意欲が高いとは限りません。特に、支援機関の特性によっては、相談意欲が低いまま来所されるケースも少なくありません。そうした相談意欲の低い来談者への援助方法の一つとして、解決志向アプローチ(Solution-Focused Approach: SFA)があります。これは問題そのものや原因を深堀りせず、「来談者にとっての解決とは何なのか」という解決構築に焦点をあてる心理療法です。カウンセラーと相談者が一緒に具体的な方法を見つけていく点が特徴で、相談者が持っている力(強みや資質、経験)を積極的に見つけ出し、解決に向けて意欲を引き出していこうとする考えです。
本シンポジウムの第1部では、田中 ひな子氏(原宿カウンセリングセンター所長)に解決志向アプローチについてご紹介いただきます。つづく第2部では、様々な困難を抱える方の心理的援助に関して、各領域で活動するシンポジストの取り組みや工夫を交えながら議論を深めます。本企画では、公認心理師や臨床心理士など援助職の方を対象に、相談意欲の低い来談者に対する支援のあり方について考える機会を提供します。
【イベントの概要】
-名称:講演・シンポジウム「相談意欲の低い来談者への解決志向アプローチ」
-日時:2025年10月26日(日)13:00-16:00
-場所:龍谷大学大宮キャンパス 東黌(とうこう)301教室
(京都市下京区七条通大宮東入大工町125-1)
-対象:公認心理師、臨床心理士など援助職の方
-定員:130名(申込先着順)
-参加:無料・専用フォームからの申込制
※申込フォーム:https://forms.gle/eqwBUHHhPQmPMnrs8
-URL:https://rcwbc.ryukoku.ac.jp/events/events-1407/
-主催:世界仏教文化研究センター(応用研究部門 社会的孤立回復支援班)
【プログラム・登壇者】※各所要時間は変更となる場合があります。
第1部・講演(13:00〜14:00)
「相談意欲の低い来談者への解決志向アプローチ-Solution-Focused Approach-」
講師 田中 ひな子氏(原宿カウンセリングセンター所長)
第2部・シンポジウム(14:15〜16:00)
「相談意欲の低い来談者への対応の工夫」
シンポジスト 中川 貴美 氏(京都家庭裁判所)
吉村 拓美 氏(京都府福知山児童相談所)
田上 貢 氏(大阪府ひきこもり地域支援センター、
大阪府スクールカウンセラー)
指定討論者 田中 ひな子氏(原宿カウンセリングセンター所長)
吉川 悟 教授(本学心理学部)
《司会》赤津 玲子 教授(本学心理学部)
【講師プロフィール】
田中 ひな子 氏(原宿カウンセリングセンター所長|臨床心理士・公認心理師)
練馬区教育相談室、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室、北里大学看護学部非常勤講師を経て、1995年「原宿カウンセリングセンター」設立時より勤務。日本ブリーフサイコセラピー学会常任理事。精神保健福祉センター、男女共同参画センター、保健所、裁判所職員総合研修所、法務総合研究所、保護観察所、日本産業カウンセラー協会等で講師を務める。
【本企画の開催にあたって】
赤津 玲子 教授(本学心理学部)
(専門:システムズアプローチ、家族療法、コミュニケーション)
公認心理師が国家資格化され、心理職の活躍の場は広がりつつあります。しかし現場には、従来の臨床心理学が支援として想定していたような、相談意欲の高い相談者ばかりが来談するとは限りません。そのため、多様な相談者に対して、これまでとは異なるアプローチを学んでいく必要があると思います。今回はその1つとして、解決志向アプローチをご紹介したいと思います。さらに、シンポジウムで現場での様々な工夫や試みを共有できたら嬉しいです。
【補注】
(※1)厚生労働省「令和6年版厚生労働白書-こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に-」
白書は例年2部構成で、第1部では特集テーマを設定し、時々の厚生労働分野でのトピックスを取り上げ、その現状や対策状況、今後の方向性について紹介。令和6年度は初めてメンタルヘルスに焦点が当てられた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
本シンポジウムへの取材を希望される場合は、担当教員までご連絡ください。
龍谷大学心理学部 赤津研究室 a-reiko@psy.ryukoku.ac.jp
問い合わせ先:龍谷大学 世界仏教文化研究センター
Tel 075-343-3458 cswbc2@ad.ryukoku.ac.jp https://rcwbc.ryukoku.ac.jp/