Need Help?

News

ニュース

2025.11.11

古川拓弁護士(過労死弁護団)に「働くこと・日本の過労死・ワークルール 」のテーマでご講演いただきました【経営学部】

 「現代社会と企業」(経営学科)と「ワークルール入門」(商学科)では11月6日、先週(10月30日)に続いて「労働問題・労働条件に関する啓発授業」を行いました。講師には、過労死弁護団の古川拓弁護士をお迎えしました。
 先週、厚生労働省から『令和7年版 過労死等防止対策白書』が公表されました。そこでも過労死・過労自殺が依然として深刻な状況にあることが明らかにされています。『白書』に示されたのは労働災害の申請と認定の数字であり、実際には多くの被害が生じていると考えられます。その一方で、新しい政権が発足し、「労働時間規制の緩和」が課題とされています。財界団体からは「働き方改革の再構築」が提言されています。
 このような状況のもとでの「啓発授業」で、古川さんは、弁護士としての実務経験を踏まえながら以下のような内容でわかりやすく話してくださりました。
   Chapter1  働くことと労働時間
   Chapter2  日本の過労死(いくつかのケースから)
   Chapter3  過労死に関する様々な知識
   Chapter4  クイズで学ぼう! ワークルールの基本
   Chapter5  困った時の対処法・予防法
 授業終了後には、何人もの学生が質問や相談に古川さんのもとに立ち寄りました。受講生(2科目あわせて約190人)にとって貴重な機会となりました。過労死家族である西垣廸世さんの講演とあわせて、学生たちは過労死・過労自殺に対する認識を深めることができたと思います。以下に、 受講生の感想を紹介します。

 過労死がどれくらい発生しているのかや、法定労働時間の歴史について具体的な数字で知ることができて、過労死は本当に一部の人達しか認定されていないということを知り驚きました。よく法律は弱い人の味方という言葉を聞きますが、法律は法律を知っている人の味方ということを最後に仰っていて、腑に落ちました。
生活の糧を得たり、自己実現したりするなど自分のために働くということと同じように、法律であったり労働に関する知識を自分のためにこれから知って行き、正しい判断をできるようにして自分のことを自分で守れるようになりたいなと思いました。

 今日の講演では、実際に過労死を専門に扱う弁護士の方に法的な立場からお話が聞けて、大変勉強になりました。授業で過労死に至るまでの過程を聞くたびに、命を投げ出す前に仕事を辞めるという選択が取れないのは何故かという疑問を持っていましたが、医学的な解説もあり、その理由がよく分かりました。そして、働くことの意義とは何か、もう一度考えさせられる機会になりました。




 2回の啓発授業を踏まえて、11月27日には、労働組合に関する講演を予定しています。森岡孝二さん(故人。過労死防止学会元代表幹事)は「まともな働き方」に必要な4つの条件として、「まともな労働時間・まともな賃金・まともな雇用・まともな社会保障」をあげられました。科目担当者(細川)はこれに「まともな経営者」、そして「まともな労働組合」が加わると考えています。
 ワークルールを知ることは、労働者だけでなく、経営者、そして社会にとっても欠かせません。将来、労働者や経営者・管理者になる学生たちに、権利を知るとともに行使する(尊重する)ことを学ぶ機会を提供していきたいと思います。     (文責:細川孝)