2025.11.18
河村英昌氏((株)神社仏閣オンライン代表)を招き講演会を開催【社会学部】
「現場主義入門」では、毎年、現場の声をお聞きし、地域での活動について考えるヒントをいただくために、社会共生実習のプロジェクトでお世話になっている連携先の方をゲストとしてお招きし、ご講演いただいています。
2025年度は、 (株)神社仏閣オンライン代表・河村英昌さんをお招きし、「社会とつながることで広がる可能性-そして、学生の頃にぜひおすすめな生き方」をテーマに、大学生活また今後の人生にとって多くの示唆がある大変充実したお話を伺いました。
河村さんは、会社を起業・運営されているだけでなく、浄土宗大光寺の副住職でもあり、「サラリーマン」でもあるなど、多角的に多方面で活躍されている方です。会社社長として、ご僧侶として、一会社員として、それぞれの現場においてフル活動されていることが今回のお話でも語られました。
河村さんが代表を務めておられる株式会社神社仏閣オンラインは、「①文化協創、②地域共助、③核心遵守」を重視して、「日本文化の担い手と、社会を結び、未来につながる新たな価値を創る会社」です。
具体的な事業内容は、アニメやVチューバ―などとのコラボ商品PRやイベント、旅行コンテンツやお祭りを作ること、各種のメディアでの活動、AI開発、アパレルブランドの開設、商品PR、大学での講義など、多岐にわたります。
大光寺では、耳のご利益で深く信仰されてきた お薬師様(薬師如来)にちなんで、新たに「耳祭り」というお祭りを立ち上げて実施されています。
このような稀有な活動が生まれてくる源泉はどこにあるのでしょうか。
ご講演では、この源泉を「自分なりの要素(経験・知識)をストックして、自分なりの掛け算でユニークな人物を作る」ことだ、と教えてくださいました。
例えば、河村さんご自身でいえば、「お坊さん×IT×サラリーマン×社長×エンタメ」といったように自分を構成する要素を複数かけ合わせていくことで、唯一無二の存在となり、それを活かしてご活躍されているわけです。
そして、その自分を作り上げる要素となる「ストック」は、これまでの人生で深く経験したり積み上げてきたりしたことだけではなく、今からでもいつからでも作れるし、その深さにこだわることはあまり重要ではなく、なにより経験したということ自体が大切、とにかく関心のあるものには片足をまず突っ込んでみることが重要だと、伝えてくださいました。
新しい挑戦には少ししり込みしてしまう人も少なくないなかで、勇気が出る力強いメッセージでした。
また、何か活動をするときには、明確なコンセプトを伝わりやすく打ち出していくことで、そのコンセプトにひかれて人々が集まってくる、ということも教えていただきました。同時に、集まってきた人たちとつながるためには、受け入れる間口は広く柔軟にしておくことも大切なのだそうです。このような人とのつながりは、自分を作り上げるストックの源泉にもなるし、自分の心を支えてくれる源泉でもあると語られ、人とのつながりの大切さも伝えてくださいました。
ご講演の後、受講生との質疑応答の時間もたくさんとっていただきました。ストックの作り方、ご僧侶が兼業する事情、深い友人関係の作り方、寺とヨガの関係、活動をする中で人から言われた心に刺さった言葉、事業の海外展開などなど、受講生一人ひとりからの質問に丁寧に答えていただき、受講生たちの理解も深まりました。
自ら様々なことに取り組み、日々、現場で多様な人々とつながり、新しい事業を展開している河村先生のお話しは、受講生にとって、これからの大学生活だけでなく、これからの人生にとっても、示唆に富む、重要な考え方、他者や物事に向き合う姿勢についての学びの多いお話でした。
「現場主義入門」の受講生は、これから自分たちで設定した具体的な地域課題に関してついて調べ、考えた結果をプレゼンテーションとして作り上げるグループワークに取り組んでいきます。今回、河村さんから伺ったお話は、受講生の課題設定や、テーマの探求の方向性にも活かされていくことでしょう。