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2025.12.01

古住公義さん(京都放送労働組合)に講演いただきました【経営学部】

 「現代社会と企業」(経営学科)と「ワークルール入門」(商学科)では、ワークルール教育を念頭においています。その一環で、2回の「労働問題・労働条件に関する啓発授業」(10月30日、11月6日)を行い、それを踏まえて、11月27日には、古住公義さん(民放労連京都放送労働組合)に「働く者の砦 京都放送労働組合の活動」のテーマで講演いただきました。


 科目担当者(細川)は、厚生労働省の委託事業である「啓発授業」を2017年度から導入しています。それは、過労死・過労自殺の深刻な実態に触れるものであり、働くことのリアルさを知る機会であります。そこでは、ワークルールを身につける重要性を実感できますが、「プラス・アルファ」が必要と考えました。そこで、翌年度から「労働組合の可能性」を学ぶという趣旨で、古住さんに講演いただくようになりました。
 労働組合はワークルールの重要な構成要素です。働く(働かされる)際にもルールがあるということを知るとともに、労働組合を通じて自分たちの労働条件を改善していくことが出来ることを実感することが大切です。高等学校の教科書で「労働組合」という言葉を目にすることはありますが、なかなか実態を学ぶ機会はありません。
 京都放送の労働組合が注目されるのは、二つの理由からです。まず、京都放送の再建において労働組合が大きな(中心的な)役割を果たしたからです。そして、構内スタッフ(非正規雇用)の労働条件の改善において全国的にみて稀有な(先進的な)取り組みを進めているからです。古住さんによれば「当たり前の活動」ですが、受講生にとっては驚きの連続となりました。
 以下に、古住さんの講演を聞いた学生たちの感想を紹介します。

 今回の講義を通じて、労働組合は財産であり、働く人にとって大きな財産になるものだと学びました。今まで労働組合は、労働条件の維持や改善することや働く人の経済的・社会的地位の向上するということが主な目的だと思っていました。それだけでなく、京都放送労働組合は地域で問題とされていることや市民の声を守り、しっかりと伝えていくことが他の労働組合と異なる点であると知り、前回の講義からより理解が深まりました。
 振り返ってみると、昔と比べ労働者の立場が弱いと感じており、声をあげる様子を見ることが少ないと感じていました。何も意思を提示しないのではなく、要求をあげ、団結して解決をしようとする行動が活発に行う事が大切であると感じました。またそうすることによって労働組合の姿がしっかりと見えてくるのではないかと思いました。
 労働組合の役割などこれまで意識していなかったが、働く人の生活や命を守るために存在し、自分を守るためにも必要であると見つめ直すことができました。

 今まで労働組合というのは自分にとってどこか遠い存在のように感じていましたが、市民による署名活動の例や労働組合が社会にとって本質的に必要な仕組みであるというお話を聞き、今まで思っていた距離がグッと縮まったような気がしました。とくに、最後の質問会でおっしゃっていた、「要求を勝ち取ることに執着心がある。そのために取り続けていく。」という言葉が印象的でした。単なる権利の主張ではなく、働く人の生活や尊厳を守るために続けられてきた努力なのだと分かり、その姿勢がとてもかっこよく感じられました。

 労働組合は日本国憲法と法律で保障されています。しかし、学生たちが就職するまでに実際の姿を知る機会はほとんどありません。メディア等を通じて知る労働組合の活動は肯定的なものばかりではありませんし、実際の労働組合が問題を抱えていることも事実です。
 そのようなもとで、古住さんの講演をお聞きしたことが、学生たちの卒業後にいくらかでも役に立つことを願っています。 
    ※ この最後の部分は、昨年と同じ内容ですが、偽らざる心境です。
                                (文責 細川孝)