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2025.12.08

「畜産学概論」担当・廣岡博之先生が2025年イグ・ノーベル賞「生物学賞」を受賞 ~牛に“しま模様”を描くことで吸血昆虫が減少する現象を実証~

 農学部専攻科目「畜産学概論」を担当いただいている廣岡 博之先生(京都大学) が参加した研究チーム(愛知県農業総合試験場・京都大学)が、このたび 2025年イグ・ノーベル賞「生物学賞」 を受賞されました。
 本学学生が集中講義で直接ご指導いただいた先生の研究が国際的に評価されたことは、本学部としても大変喜ばしいニュースです。イグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に贈られる賞で、ノーベル賞のパロディとして米科学雑誌により1991年に創設されました。

■ 研究概要
 ダーウィンの時代からシマウマのしま模様の機能に関する様々な仮説がありましたが、その一つにアブやサシバエのような吸血昆虫を寄せつけにくくする働きがあるのではないかとする仮説があります。また、現実の畜産現場ではこのような吸血昆虫による生産性の低下は世界中で問題となっています。廣岡先生らの研究チームは、この仮説を実際のウシの体に白黒のしま模様を描くことで吸血昆虫の付着が減少するかどうかを実証する実験を試みました。その結果、白黒のしま模様を描いた牛では吸血昆虫の付着が約半減し、忌避行動も大幅に減少することが確認されました。薬剤を使わない新しい害虫対策の可能性とともに、シマウマ模様の機能に関する学術的議論にも重要な示唆を与える成果です。

■ 研究の意義
 本成果は、薬剤を用いない新たな吸血昆虫対策として畜産現場で活用できる可能性を示すもので、アニマルウェルフェアの向上や薬剤耐性問題への対応といった観点からも大きな意義があります。さらに、ダーウィンの時代から議論されてきた「シマウマのしま模様の機能」に関する学術的論争に対しても、新しい知見を提供する研究として注目されています。

■ 原著論文
 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0223447

 廣岡先生の授業を受講していた、または今後受講される皆さんにとって、身近な先生が世界的に注目される研究に携わっておられることは、大きな刺激となることでしょう。廣岡先生、このたびのご受賞、誠におめでとうございます。


白黒のしま模様を描いた黒毛和種牛の実験の様子
写真提供:愛知県農業総合試験場/京都大学