2026.01.21
2025年度【社会共生実習】活動報告会を開催しました
社会学部の地域連携型科目「社会共生実習」では、1/9(金)に1年間の成果を発表する「活動報告会」を開催しました。
当日は、各プロジェクトの連携先の方や関連する諸団体の方々、他学部の先生、教育連携校の高校生など、総勢87名がご参加くださり、受講生たちの発表に熱心に耳を傾けてくださいました。
はじめに、本実習担当教員である久保和之先生から、開会挨拶として、「昨今は生成AIを利用する学生が増えているが、インターネット上に出ていない現場でしか得られない生の情報を仕入れて、今後の活動に生かしていただきたいと思います」という話がありました。
第1部では、各プロジェクトの受講生から1年間の活動について報告がなされました。
以下、報告内容を簡単にご紹介いたします。
① 脇田PJ(地域エンパワねっと・大津中央)
本プロジェクトは、滋賀県大津市中央学区を中心にまちづくりに取り組むプロジェクトです。地域の方と関わらせていただく中で、学生自身が地域の課題に気づき、その課題を解決する手段を考えることを目的としています。
今年度は6月に実施した「まちあるき」をきっかけに、地域での活動が動き出しました。実際に地域を歩いてみると、道行く人が少ないことや商店街にあまり人が通っていないことに気づきました。そこから、多世代が自然に交流して商店街がもっと親しみのある場所になるといいのではないかと考えるようになりました。交流の現状を見ていく中で、シニア世代は自治会や回覧板など、既存の仕組みによってある程度交流が成り立っている一方で、最近建ったマンションなどに住む若者世代(特に子育て世代)は地域と関わる機会が少ないという課題があるのではないかと感じました。そこで、多世代交流を目指すために、まず、子連れの方を対象に、気軽に立ち寄れる場を作ろうと考え、ナカマチ商店街にあるナカマチスタジオをお借りして絵本や紙芝居の読み聞かせをおこなうイベントを実施しました。
第1回は12月に実施し、イベントに参加してくださった親御さんからは「まちを出歩くきっかけになった」、「ぜひもっと開催してほしい」とのお声をいただきました。この取り組みを通じて、地域に出るきっかけを求めている人は実際にいることがわかりました。一方で、当日は家族ごとに過ごす場面が多く、参加者同士の交流が生まれなかったと感じています。そのため、1月と2月に開催する際はこのイベントが交流の場となることを目指して参加者同士の会話や関わりが生まれるような工夫をしていきたいと考えています。
プロジェクトを通して、地域と関わるきっかけは特別なものではなくても良いのではないかと考えるようになりました。これからも商店街や地域の方々と向き合いながら小さなきっかけを積み重ねていけたらいいなと思います。
② 坂本PJ(農福連携で地域をつなぐ―「地域で誰もがいきいきと暮らせる共生社会に向けて」)
本プロジェクトの活動中に見出された社会課題は、障がいの特性を十分に理解したうえで関係を構築することの難しさです。日常的なやり取りの中で何気ない言動が相手にどのように受け取られるのかを常に考えて会話しました。また、特性への理解が不十分なまま関わるとコミュニケーションが円滑に上手くいかないことがあり、これも課題の一つでした。
この課題を解決するために、私たちは農作業時間だけではなく休憩時間も大切な関わりの機会になると考えて、利用者さんとのコミュニケーションを継続的におこないました。日常的な会話や何気ない一言を通して一人ひとりの性格や興味関心、障がいの特性を理解することを意識しました。また、利用者さんの機嫌や行動に関して一方的に問い詰めるのではなくて、その背景にある特性や気持ちを考えながら関わるように努めました。さらに、相手の反応を観察しつつ、言葉選びや声のかけ方、距離感を調整することで安心して関われる関係づくりを目指しました。こうした関わりを作り出すことで利用者さんが自分の想いを表現しやすい環境づくりにつながるように意識しました。
実習当初は利用者さんから受講生の着ていた作業着に対して「その服変だね」などと一方的な発言が見受けられたのですが、実習の半ば・後半になってくると、受講生に対して「お化粧してほしい」「髪の毛伸びたね」など、相手を意識した言葉をかけてくれるようになりました。継続的な関わりを通じて信頼関係を構築できた証ではないかと思います。本実習を通して利用者さんに限らず個々人の特性を理解しその人に合わせた関係性を築くことが大事だと学びました。この考えが社会全体の常識になるように、多くの方々に伝えていくことが課題だと思っています。
③ 猪瀬・古莊PJ(お寺の可能性を引き出そう!―社会におけるお寺の役割を考える―)
お寺と聞くと宗教施設のイメージが強く、無意識のうちに見えない壁を作ってしまいます。葬式仏教と揶揄されるお寺ですが、本プロジェクトでは地域に開かれた活動をおこなうお寺を実際に訪問し、活動の意図を明らかにするとともに、お寺で企画を実施しながらお寺の可能性を模索しました。
前期には、西方寺(滋賀県草津市)・一念寺(京都市)・西本願寺(京都市)に伺い、スタッフとしてイベントに参加したり、ご住職から社会貢献活動に込めた想いを聞かせてもらったりしました。なかでも「西方寺花地蔵まつり」は音楽会やフリーマーケット、駄菓子屋などが開かれ、小学生や家族連れを中心に多くの人でにぎわっており、お寺が新しいご縁を生み出す場であることを実感しました。後期には、清浄華院(京都市)で開催されたLOTUS WEEKEND 2025において、防災ワークショップを企画し、実施しました。ホイッスルのデコレーションや新聞スリッパの製作を通して防災意識を持ってもらうだけではなく、私たち受講生と来場者、あるいは来場者同士の素敵な出会いにつながればという想いを込めました。
活動全体を通じた反省点は、活動の状況や成果を発信するためのSNSの更新頻度が低かったことです。加えて、実習先のお寺に関する事前調査に粗さがあり、世に公開されている情報以上の内容を聞き出せなかったことも反省すべき点でした。一方で、活動の振り返りを兼ねたnote記事の執筆をとおして、それぞれのお寺が目指す理想像やイベントに込められた想いを整理することができました。
④ 土田PJ(障がいがある子どもたちの放課後支援)
このプロジェクトでは、障がいのある子どもたちと一緒に過ごすことで、その個性を理解しました。その上で、障がいのある子どもたちを包み込むことのできる「共生社会」の実現を考えました。
実習活動としては、基本的に週1回、決まった曜日に放課後の時間を障がいのある子どもたちと過ごすことが中心でした。子どもたちとともに遊び、コミュニケーションを取ることで、デイサービスの職員の指導を受けながら、それぞれの「個性」である障がいの特性についても理解するよう努めました。実習のまとめとして、その理解に基づき、実習生全員で土曜日の「設定実習」を実施しました。用意した「スライム」を子どもたちは喜んでくれましたが、当日は想定していなかったことも起こり、事前の準備の大切さや放課後等デイサービスの役割についても学ぶことができました。
障がいのある子どもと関わる際に、なんとなく感じていた不安を取り除けたことは、大きな財産となりましたが、現時点では彼らとの「共生社会の実現」は考察だけで終わっています。今後、今回の経験をそれぞれの場所で活かし、周囲に語ることで子どもたちへの理解を促し、障がいのある子どもたちにとって過ごしやすい社会の実現に貢献していきたいです。
⑤ 久保PJ(コミュニティの情報発信!レク龍プロジェクト)
本プロジェクトの「レク」とはレクリエーションの略で、仕事や学業などで疲れたときに、肉体的・精神的安定が求められる際にレクリエーションをおこなうことで心身の健康維持や社会的なつながりを得るなどの効果があります。社会的課題としては、レクリエーションの知名度がそもそも低いということと高齢化が進んでいることが挙げられます。
主な活動としては、滋賀県レクリエーション協会の広報媒体の運営です。X、Instagram、Facebookの3つのSNSを運営しています。投稿の内容は滋賀県レクリエーション協会が主催するイベントの告知はもちろん、毎回の授業で取り組んでいるレクリエーションの紹介などもおこなっていました。他の活動として、滋賀県レクリエーション協会の運営指導部会への参加や地域イベントへの参加、全国レクリエーション大会にも参加しました。
実習活動の成果は、SNSでハッシュタグを多用することによって今までよりも「いいね!」や観覧数が増えたことです。また、イベントに参加することで、まずは自分たちがレクリエーションを知ることができ、興味が湧いてきて、もっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。今後の課題としては、SNSの投稿数がまちまちだったので、もっと投稿を増やして知名度を上げていきたいと思います。
第2部では、ポスターセッションがおこなわれました。
1年間の活動をまとめたポスターを囲んで、参加者からの質問一つひとつに受講生が丁寧に回答したり、意見交換がなされたりしました。
以下、各プロジェクトのポスターとポスターセッションの様子をご紹介いたします。
②坂本PJ ポスター
③猪瀬・古莊PJ ポスター
④土田PJ ポスター
⑤久保PJ ポスター
講評では、以下の方々から貴重なご意見を賜りました。
皆様お忙しい中ご来場いただき、誠にありがとうございました。
最後に、本実習担当教員である猪瀬優理先生から、総括・閉会挨拶として、ご来場の皆様へのお礼と受講生たちへの労いの言葉、そのほかにも以下のような話がありました。
「ご講評いただいた3名の皆様からは、現場に出ることの大切さや事前準備の重要性、学部や業務などの垣根を超えた連携などの示唆に富むお話をいただきました。現場での活動やつながりをこの実習の中だけに留めておくのではなく、学部全体に、また学部の外に広げていくことが、 本学部だけでなく本学としても重要なことであると感じました。
本実習では、前期と後期に1回ずつ受講生同士が交流する機会を設けていました。その際、各プロジェクトで得た良いところはもちろん、困っていることや悩んでいることも共有してくれていました。今回の発表やポスターの内容を拝見すると、そうした課題に対して現場の方々とのふれあいやそこで得た体験を通して自身の学びを深めてくれたことがわかり、大変感慨深く感じました。こうした実習が可能になったのは、地域や連携先の皆様、スタッフの皆様が迷いながらも現場と関わろうとする学生を見守ってくださったからだと思っています。この場をお借りして心より感謝申し上げます。
受講生のみなさんは、これが終わりではなく、この学びをどうやって次につなげていくかということを考えながら振り返りをしていただければと思います。
本日お越しの皆様にとっても、この活動報告会がご自身の活動を次につなげる機会となりますことを祈念しています。」
終了後、実施した参加者アンケートでは、以下のような感想がありました。
●どのプロジェクトも、学生さんが体験を通して成長されていることが伝わってきました。
●大学生の発表はもちろん、参加された高校生の意見もいろいろと気づかれることも多く、とても有意義な時間となりました。ありがとうございました。
●色々な意見を知ることができ、とても楽しかったです。私もこれからたくさんのことを学び、様々な人達に発信できるように意識していきたいです。
どのプロジェクトの受講生も成長した姿を披露してくれました。
皆さん、大変お疲れ様でした。
社会学部「社会共生実習」について、詳しくはこちらの【専用ページ】をご覧ください。