2026.03.04
政策実践・探究演習(海外) イタリアPBL 現地レポート(1)【政策学部】
政策学部では、ヨーロッパの都市において現地大学と連携して国際CBLプログラムを2022年度より開講しています。2025年度は、イタリア・トリノ市において、トリノ工科大学と連携し、グリーン・トランジション政策について学んでいます。2026年3月1日~6日の現地プログラムについて、参加学生の報告を発信しています。
3月2日(月)
午前中は、トリノ工科大学を訪れ、学部長やJAPAN HUBの代表に挨拶をいただき、このプログラムのトリノ工科大学での位置づけと、これから5日間のプログラムの説明がありました。その後、トリノ工科大学が所有するヴァレンティーノ城を案内していただきました。午後からはトラムで移動し、ヨーロッパ最大の市場であるポルタ・パラッツォ(porta palazzo)を訪れました。この市場のフードコートで昼食をとったあと、現地の方から市場で行っているフードロスに対する取り組みや、トリノの食料を保管方法の歴史についての説明をしていただきました。その後Urban Labを訪問し、トリノで行っている交通に対する政策についての講義を受けました。
【参加学生からの報告】
8時、ホテルのロビーに集合し、トラムでトリノ工科大学に向かいました。
9時、トリノ工科大学の先生方と合流し、挨拶をした後、トリノ工科大学について説明を聞きました。また、私たち学生から①京都市について②龍谷大学・政策学部について③脱炭素について発表を行い、意見交換を行いました。トリノ工科大学の先生がたからは、PBLについてや、京都市はいつも混雑状態なのか、また、どこの国からくる人が多いのかなどといった質問や、フィールドワークを行う頻度、京都の政策に関しては、京都プロトコルと繋がっているのか、といった質問がありました。
10時半、トリノ工科大学内にあるカフェでコーヒー休憩を行いました。 11時、トリノ工科大学が所有する世界遺産、ヴァレンティーノ城(castello del Valentino)の中を案内していただきました。壁や天井にある画について説明を聞きました。狩猟の部屋では、シカやイノシシのデザインがなされ、別の部屋では1700年から1800年の間の勝利した戦いの画と祖国のために参戦し亡くなった学生の名前が書かれたボードがありました。
12時半、トラムでヨーロッパ最大のマーケットであり、トリノの街の顔になっているポルタ・パラッツォに移動しフードコートで昼食を取った後、現地の方に市場で行っているフードロスへの取り組みについて説明をしていただきました。この市場では、傷んだ商品や売れ残り食品を市場やスーパーから集め、整理券を持った人々に無償で提供する取り組みや、それらの食材を使ってパスタやライスなどと一緒に調理し提供する取り組みをしているそうです。他の市場から食材を譲っていただき行う活動であるため、他の市場が閉まる時間に活動を開始し、午後2時半頃から配布、3時半頃からは清掃やごみの分別も行っていました。1日30人ほどのスタッフが活動しており、社会的意義が加わることで人々の評価が変わり、食品ロス削減と生活支援という社会的・経済的効果を持つ取り組みとなっています。
その後、食料の保存方法の歴史について教えていただきました。缶詰が開発される前は、大きなアイスハウスに氷をたくさん入れ、冷凍庫のような状態にし、食材を保存していたとのことでした。
15時半、徒歩でトリノの都市イノベーションの拠点であるトリノアーバンラボ(TORINO URBAN LAB)に移動し、トリノの歴史と政策について説明していただきました。トリノアーバンラボは市民にトリノの変革や取り組みの実施状況を知らせる役割を担い、都市空間を活用した実験の場となっています。歴史、政策については「Planning」や「vulnerability」といったポイントを中心にこれまでの取り組みについて学びました。工場跡地は土壌が汚染されており、その汚染を取り除くには膨大なコストがかかってしまうため、土壌を壊してしまうそうです。また、二年後にはトリノ工科大学の横に図書館ができる予定であり、ヴァレンティーノ城の前の道を浸透性のあるコンクリートに変えていくといったお話も聞きました。
17時半、ホテルに戻りがてらアーバンラボで説明していただいた内容に関する建物などを見ながら移動しました。19時からトリノ工科大学の先生方とピザやティラミスを食べながらお話し、今日の活動は終了です。
トリノ工科大学の教室にて
ポルタ・パラッツォにて
食材の回収を体験している様子。指定された赤いベストを着用。
アイスハウスにて見学している様子
<1日を振り返って>
今日は、トリノ工科大学の先生方に京都市や龍谷大学についての発表をするという予定だったこともあり、とても不安な気持ちで始まった朝でしたが、どの先生方も笑顔で迎え入れてくださり、リラックスして発表することができました。脱炭素についての発表のあと、京都プロトコルについての話題が出ましたが、英語でのやり取りは難しく聞くのが精一杯でした。大学内には野生のリスがいて、トリノにはよく生息しているようですが、日本ではない出来事なのでとても新鮮でした。
その後、トリノ工科大学の中にあるヴァレンティーノ城の案内をしていただいた際、ユネスコの世界遺産であると聞きとても驚きました。建物の中には教室やオフィスが入っていて、世界遺産と大学が混在している様子がとても魅力的でした。二階の一般公開は月に一度程とのことでしたが、今回は特別に見学させていただき、とても貴重な経験をすることができました。
ポルタ・パラッツォでは取り組みの一環である食材の回収を体験させていただきました。売り物にならない食材を無償で配分し、近隣住民に引き取られていく様子や実際に働いている様子を近くで見ることで、活動の裏側や流れを知ることができ、良い経験になりました。本来であれば廃棄になってしまう食材を集めて配分するといった活動を行政が労働として確立させている点に、食品ロスの削減と社会的な支援といった目的に加え雇用にもつながり良い取り組みであるなと感じました。トリノでは街の至る所にごみ箱が設置されており、ごみをすぐに捨てることができました。しかし、日本ではほとんど見られない光景であったため、便利な反面、回収や維持は困難ではないのか、誰がどのように行っているのか、など疑問に感じました。
アーバンラボではトリノ大聖堂についてのモビリティ改革について説明もあり、自動車が通る道路が狭くなることで歩行者空間が広がり人々が安心して過ごすことのできる巨大広場となっているとの説明があり、実際に訪問してみると、トリノ大聖堂周辺はどこも大きく開けていて、大聖堂の迫力をより一層感じさせる要因になっているように感じました。
【執筆者】
内田 桃(政策学部2年生)・伊坂 琴音(政策学部2年生)