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2026.03.30

羽渕有稀氏(大学院法学研究科)の論文が学術誌『アジア経済』に掲載【研究部/法学部/法学研究科】

学部在学中に投稿した卒業論文が査読付き学術誌に掲載。イスラエルにおける司法制度改革と民主主義意識を実証分析

 この度、羽渕有稀氏(龍谷大学大学院法学研究科)の論文が、学術誌『アジア経済』(JETRO・アジア経済研究所 発行)に掲載されました。
 同誌は、アジア・中東・アフリカ地域の政治・経済・社会を対象とする、日本を代表する査読付き学術誌です。

 本研究は、濱中新吾教授の指導のもと、羽渕氏が龍谷大学法学部在学中に執筆・投稿した卒業論文をもとにしたものであり、学部生による研究成果が査読付き学術誌に掲載されました。
 イスラエルで進行する司法制度改革を題材に、民主主義の基本原則に対する市民の支持態度を実証的に分析しています。特に、政治的分極化と政治指導者への支持が民主主義への支持に与える影響を明らかにしています。

研究のポイント
・イスラエル社会では、ネタニヤフ首相への支持・不支持を軸とした政治的分極化が進行している。
・コンジョイント実験を用いた分析により、ネタニヤフ首相の支持者ほど「司法の独立」という民主主義の基本原則への支持が低い傾向が確認された。
・一方で、最高裁判所への信頼については単純な低下は見られず、民主主義原則への支持と統治機構への評価が異なるメカニズムで形成されている可能性が示された。

 
研究の意義

 本研究は、民主主義国家においても政治的分極化や特定の政治指導者への支持が強まることで、民主主義の基本原則への支持が低下し得ることを示した点に重要な意義があります。
 従来、民主主義体制の安定には市民による価値観レベルでの支持が不可欠と考えられてきましたが、本研究はその前提に再検討を迫るものです。特に、政治の「個人化」が進む状況においては、制度や原則よりも政治指導者への態度が優先される可能性を、実験的手法によって明らかにしました。
 また、中東地域を対象にコンジョイント実験を用いて民主主義意識を分析した研究は限られており、本研究は比較政治学および地域研究に新たな実証的知見を提供するものです。

論文掲載情報
 雑誌名: アジア経済(JETRO・アジア経済研究所)
 タイトル:コンジョイント実験を通じた「民主主義原則への支持」の検証 ―イスラエルにおける司法制度改革の事例より―
 著者:羽渕 有稀(龍谷大学 大学院法学研究科)
 DOI:https://doi.org/10.24765/ajiakeizai.67.1_2
 オンライン掲載:第67巻第1号(2026年3月)

 
研究資金

・科研費・基盤研究(A)「中東諸国民の政策選好と統治の正統性」(研究代表者 濱中新吾)22H00055

※カバー画像は、世界最古の都市の一つイスラエル・エルサレムの参考イメージ。
エルサレムには議会や首相府、中央省庁などがあり、イスラエルの政治と文化の中心とされる。