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2026.05.22

幻の童謡詩人・金子みすゞの企画展を開催

 

見えないものへの想像力を。分断と対立の時代に童謡に学ぶ「慈しみ」のまなざし 

 

【本件のポイント】 

  • 分断や対立の深刻化、環境危機の進行など価値観が揺らぐ現代において、金子みすゞの童謡を通して「慈しみ」と「共に生きること」を見つめ直し、“見えないものへの想像力”を考える企画展 
  • 『南京玉』(オリジナル)の初展示をはじめ、童謡「お仏壇」の詩に関連するパネルや大正時代の聖典など、金子みすゞの生涯と思想の背景に迫る史料を展示 
  • 金子みすゞ研究を続ける鍋島直樹教授が監修。学生・院生による声も交えながら、みすゞの「慈しみ」のまなざしを現代社会と接続して紹介

 

【本件の概要】 

 自然の風景や他者や生物への優しさに溢れた作品が世界で愛される童謡詩人・金子みすゞ(1903~30年)。大正末期から昭和初期にかけて雑誌に多くの童謡を投稿し、西條八十に激賞されるなど期待が集まるも26歳で早逝、半世紀以上ほぼ知られていない「幻の童謡詩人」とされてきました。 
 本展のタイトルは、童謡「お仏壇」の一節「忘れていても、仏さま、いつもみていてくださるの。」から名付けました。目に見えなくても、自分を気にかけ、支えてくれる存在がある――。困難な中にあっても、護ってくれる存在を感じ、その安心感に支えられたみすゞの童謡には、小さないのちや見えない悲しみに寄り添おうとする「慈しみ」が息づいています。 
 みすゞの生涯と童謡にみる仏教的生命観について研究を重ねてきた鍋島直樹教授(本学文学部真宗学科)は、「私たちは多くの縁の中で支え合って生きている。そのことに気づくところから、慈しみは生まれてくる。分断を越える力は、他者の悲しみに目を向ける慈しみのまなざしの中にこそある――。」と語ります。 
 分断や対立の深刻化、環境危機の進行など、価値観の揺らぐ現代において、本展ではみすゞの童謡を通して「慈しみ」と「共に生きること」の意味を、参加者とともに見つめ直します。 


20歳の肖像写真|写真提供:金子みすゞ著作保存会

 

【企画展の概要】

 -    名称:「忘れていても、仏さま、いつもみていてくださるの。~金子みすゞの生涯と童

     謡に学ぶ仏教SDGs」
-    会期:2026年6月6日(土)~6月24日(水)
-    開館:会期中の月曜日~金曜日、および 6 日(土)、20 日(土)、21日(日)の11:00 

                   ~16:00
-    会場:龍谷大学大宮キャンパス 本館1階展観室
-    URL:https://chsr.ryukoku.ac.jp/events/events-854/
      ※一般観覧自由、無料

-    主催:世界仏教文化研究センター 応用研究部門 人間・科学・宗教オープン・リサー

     チ・センター
                   ジェンダーと宗教研究センター
-    協力:金子みすゞ記念館/金子みすゞ著作保存会/NPO法人金子みすゞ顕彰会/フレ

                   ーベル館/JULA出版局/龍谷総合学園/大阪大谷大学宗教文化研究センター/

                   丸三仏壇店 ほか本学内組織

 

【関連行事】 

出版記念講演「みんなちがって、みんないい。金子みすゞの童謡に学ぶ命の尊さ」 

開催日時:2026年5月28日(木)13:30〜15:00 

講  師:鍋島直樹(龍谷大学文学部教授) 

会  場:龍谷大学大宮キャンパス東黌208演習室 

※本講演の取材を希望される場合はお問い合わせ先までご連絡ください。 

 

記念講演「金子みすゞの生涯と童謡 みすゞさんとふさえさん」 

開催日時:2026年6 月17 日(水)11 :00〜12:30 

講  師:矢崎節夫氏(金子みすゞ記念館館長) 

会  場:龍谷大学大宮キャンパス 本館2階講堂 

※WEBフォームからの事前申込制 https://forms.gle/s2EL6eTh9LmXWu7M9

 

ギャラリートーク 

開催日時:2026年6月6日(土)11:30〜12:30、6月24日(水)13:30~14:30 

会  場:龍谷大学大宮キャンパス 本館1階展観室 

講  師:JULA出版局 柴崎大輔氏・北尾知子氏 

※申込不要。各開始時刻に現地集合 
 

 

【展示の見どころ】  

① 「お仏壇」に込められた“見守られている感覚”を読み解く 

本展タイトルにもなっている童謡「お仏壇」を軸に、「忘れていても、仏さま、いつもみていてくださるの。」という一節が持つ意味を紹介します。目に見えなくても、自分を支え、見守ってくれている存在がある――。そうしたみすゞの童謡に流れる「慈しみ」の原風景をたどります。童謡のパネル展示とあわせて、浄土真宗本願寺派の仏壇(協力:丸三仏壇店)や、みすゞが手にした大正時代の和綴じの聖典も展示します。 

 

② 金子みすゞの生涯と「甦り」の軌跡 

26歳で世を去り、長く“幻の童謡詩人”と呼ばれた金子みすゞ 。本展では、故郷・仙崎での暮らしから、童謡詩人として活躍した時代、そして童謡詩人・矢崎節夫氏の長年の努力により、没後50年以上を経て512編の詩を収めた遺稿集・3冊の手帳が再発見されるまでの歩みを紹介。 

この遺稿集は、『金子みすゞ全集』(JULA出版局、1984年)として出版されました。現在までに15か国語以上に翻訳され、みすゞの魅力は世界に広がっています。 


金子みすゞ遺構手帳|写真提供:JULA出版局

 

③ 初展示史料『南京玉』や遺稿手帳レプリカを公開 

みすゞは雑誌『童謡』等の誌上で西條八十に認められながらも、結婚後に夫から詩作を禁じられました。そうした時期に、当時3歳の一人娘・ふさえの愛らしい言葉を書き留めた手帳『南京玉』(オリジナル)を初展示。あわせて、512編の詩が残された遺稿手帳3冊の精巧なレプリカや、みすゞが言葉を学び続けるために 当時の雑誌や詩集から書き写した詞華集「琅玕集」(レプリカ)も展示します。 

 

④ 学生・院生の声も交えて考える「慈しみ」と「共に生きること」 

関連講義を受講した学生・院生からは、「見えない悲しみに想像力を向けることの大切さを感じた」「みすゞはいのちを比べたり裁いたりする私たちの姿勢を問い直している」「みすゞのいのちへのまなざしは、世界を分け隔てなく受けとめる、静かで深い共感に支えられている」といった声が寄せられています。本展では、そうした現代の若い世代の声も交えながら、来場者とともに“慈しみの輪”について考える機会とします。 

【本展の開催にあたって】 
鍋島直樹 教授(本学文学部真宗学科、専門:真宗教義学、実践真宗学)

「みんなちがって、みんないい。」という金子みすゞの言葉には、人間だけでなく、小鳥や魚、草花など、この世界に存在するすべてのものを分け隔てなく見つめる、あたたかなまなざしがあります。
童謡「お仏壇」には、目には見えなくても、自分を照らし、支えてくれている存在への安心感や、亡き人とのつながりが描かれています。
今回の企画展を通じて、みすゞの童謡の根底に流れる「慈しみ」の意味を、あらためて見つめ直したいと思います。本展が、他者の悲しみに思いを寄せ、共に支え合って生きることについて考える機会となれば幸いです。


企画展、講演、担当教員への取材を希望される場合は、お問い合わせ先までご連絡ください。

 


問い合わせ先:龍谷大学 世界仏教文化研究センター
Tel 075-343-3458  cswbc2@ad.ryukoku.ac.jp   https://rcwbc.ryukoku.ac.jp/