2026.06.12
武藤 健一氏による講演会を開催【法学部】
龍谷大学法学部の専門科目「マスコミ論Ⅰ」は、5月26日に岩手県大阪事務所から次長の武藤健一氏を招いて「震災復興と公務員の働き方」をテーマに講演会を開きました。2026年3月で東日本大震災から15年の区切りを迎えるにあたり、震災当初から復興事業に取り組んできた武藤氏がこれまでを振り返りました。授業を担当する内田孝非常勤講師の求めに応じ、震災報道に対する感想も交えて話題を展開しました。
武藤氏は、大阪事務所勤務となって4年目で、観光関連事業で京都の社寺などとも仕事を重ねています。それまでは県立病院など医療関係、文化財保護・活用や平泉のユネスコ世界遺産登録など、さまざまな内容の職務を経験してこられました。
2011年の震災発生時は、奥州藤原氏の時代から栄え、義経の最期でも知られる金色堂のある平泉町役場で執務中でした。激しい横揺れが続き、「圧倒されてしまい、心ここにあらずでした」と恐ろしかった瞬間を受講生に説明しました。一方で、祖父や父から明治、昭和に繰り返し起こってきた三陸大津波の体験談を伝えられていたことから、15年前の大震災の際も「おそらく海岸は津波に襲われるだろう」と予測できるなど、冷静な気持ちも持ち合わせていたと言います。
東日本大震災では、全国各地で5,100人以上が犠牲となりました。平泉町でも相当数の犠牲者が出たことから、武藤氏は他県に火葬協力の手配なども行うなど目の前の仕事に追われ、「周囲にはメンタル不調となる職員も出ていました」と、相当に過酷だった被災直後の勤務の実際を振り返りました。
震災以前から、岩手県では人口減が始まっていました。毎年1~2万人ペースで減っていけば近い将来、県内の人口が100万人を割る可能性がある、と予測されています。工場や企業誘致は積極的に行われてきており、武藤氏は自身で手掛けた水産加工会社で、新入職員たちが生き生きと働く姿を紹介した動画も紹介しました。国の補助金制度を活用するにしても、人口が金額算出のベースになることから、ひとりでも大勢の定住者を確保することの重要性を説明しました。
受講生は事前に質問を提出し、それらの問いにも意識しながらの講演でしたが、さらに「岩手県は観光施策を重視しているが、インバウンドが少ないことをどう捉えるのか」といった問いかけもありました。武藤氏は、岩手県一県で四国四県に相当する広い面積に海や山、有名寺社など見どころも多数抱えていることから、今後の可能性に期待していきたいとの趣旨で返答し、アクセス方法を示して受講生にも夏休みなどでの来県を呼びかけました。また、震災などさまざまな報道については過去のニュース映像も活用し、県内の地元紙、テレビ局と全国紙などでは細部に焦点を当ててまとめるか否かなど、「個々の特色を生かして報じていただきたい」とリクエストしました。