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2026.06.22

「経営学のすすめ」(教養教育科目)で過労死防止啓発授業を行いました【経営学部】

 龍谷大学の開講科目は、教養教育科目と(それぞれの学部ごとの)専攻科目とに大別されます。教養教育科目の一つとして「経営学のすすめ」が開講されており、経営学部以外の学生が受講しています。複数のクラスが開講されており、水曜日1講時のクラス(登録者、約160人)では、6月10日に厚生労働省の「過労死等防止対策等労働条件に関する啓発事業」を取り入れて、「啓発授業」を行いました。
 当日は、「全国過労死家族の会」の代表である寺西笑子さん(京都市在住)がお越しくださり、「過労死のない社会の実現を―命より大切な仕事はありません―」のテーマで講演されました。寺西さんは1996年2月14日に調理師であった夫を過労自死で喪いました。
 寺西さんは夫の過酷な働かせられ方について紹介されるとともに、労災認定、使用者(会社)側と経営者個人を訴えた裁判の勝訴に至る10年9か月のたたかいを振り返りました。そして、その後には、「夫はどうすれば死なずにすんだのか、考え行動することがライフワーク」となったと話されました。
 続いて、「過労死等防止対策推進法」(2014年6月)成立までの取り組み、同法の課題について述べられました。さらに、過労死等の現状を『過労死等防止対策白書』や厚生労働省「自殺統計原票データ」にもとづきながら、脳・心臓疾患は「高止まり」、精神疾患は「毎年、過去最多」であると指摘されました。過労死等は依然、深刻な状況にあるということです。


 寺西さんは、過労死等は「氷山の一角」であり、多くの被害者や家族は「泣き寝入りしている」ことを明らかにされました。そのようなもとで、過労死等をなくすための取り組みはじゅうぶんではありません。長時間労働の規制やハラスメント対策では、国際社会の動向からは遅れており、法律よりも職場慣行が重視されるのが、日本の状況です。
 講演の最後に寺西さんは、「過労死遺族の願い」として、次のようなことを強調されました。
  自分の命と 大切な人の命を 守ってください 
  命より大切な 仕事はありません!
  長時間労働が当たり前になっている 日本の働き方を変えていきましょう
  過労死をゼロにし、健康で充実して 働き続けることのできる 社会へ
  みなさま、ともに考え行動して頂けることを 切に願っています
 寺西さんの約70分の講演を終えて、学生たちから質問が出されました。「テレワークが過労死等に与える影響は?」、「(タイムカードがない場合の)労働時間の把握の仕方は?」、「過重労働を防ぐために家族ができることは?」などについて、寺西さんがていねいに答えられました。以下のような感想が寄せられています。

 本当に貴重な話を聞くことができ、学ぶことができました。寺西さんが講演の初めに、命に代わるものはないとおっしゃったのに胸が熱くなりました。ご主人のために戦い、全面的に勝訴した後も、まだまだ過労自殺の防止のために、こんどは他者のために動いている寺西さんは強い方だと思いました。これ以上の言葉は浮かびません。

 今回のお話を聞き、過労死が個人の努力不足ではなく、社会や企業の構造的な問題であることを学びました。遺族の方々が声を上げることで法律が動いたという事実に、社会を変えていく勇気を感じました。僕も、労働環境だけでなく、様々な社会の問題に対して声を上げられる存在でありたいと思います。

 科目担当者(細川)は、経営学は普通に働く人にとっても貴重な学びであると考えています。その点で、過労死等が深刻な状況に対して、経営学はより積極的に取り組んでいくことが必要と考えています。この日の啓発授業を踏まえて、「経営学のすすめ」では日本企業における働き方(働かせ方)の問題に焦点をあてて、授業を進めていくことになっています。                            (文責:細川 孝)