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2026.10.07

台湾先住民サイシャット族の蓬莱部落でフィールドワークを実施(3)【政策学部】

2026年9月10日から13日の4日間、学生14名と教職員5名(政策学部 金紅実准教授・石倉研准教授・並木州太朗講師、先端理工学部 奥田哲士教授、職員1名)が台湾先住民サイシャット族の蓬莱集落にてフィールドワークを行いました。滞在中のレポートをお伝えします。

9月13日(日)
台湾の伝統料理である大根餅を朝食にいただいた後、車で約30分の場所にあるサイシャット族の秘境へ向かいました。今回訪れた山は、サイシャット族にとって祭礼や成人式などの重要な儀式が行われる特別な場所です。入山前には長老から山の神への挨拶について説明を受け、自然への感謝と共生を大切にする民族の文化を学びました。

サイシャット族は12の神を信仰しており、山の入り口にはそれぞれの神を表す竹の棒が立てられていました。入山の際には、その棒に3回礼をし、豚肉やお酒を供えるといいます。自然から得た恵みの一部を山へ返すこの習慣から、自然を単なる資源ではなく、生活を支える大切な存在として捉えていることが伝わってきました。人間も自然の一部であり、恵みへの感謝を忘れないという考え方は、龍谷大学が掲げる仏教SDGsの思想にも通じるものがあると感じました。



山道では、苔むした岩の上を歩きながら、サイシャット族の成人式や子どもたちの試練について話をうかがいました。男性は薬草、女性は食用の草を5種類見つける課題があり、8歳の子どもには目隠しをして山から家まで帰る試験もあるそうです。一見すると成長を確かめるための試練ですが、民族間の争いの際に山の中で生き残るための知恵や力を身につける意味もあると知りました。自然と共に生きてきた民族の歴史が、今も文化として受け継がれていることに驚きました。

山の奥へ進むと、サイシャット族が特に大切にしている「父なる木」のある広場に到着しました。長老の指示で持ち物をすべて地面に置き、5分間の瞑想を行いました。静かな森の中で土から伝わるエネルギーを感じ、自然と一体になるという考え方を身をもって体験することができました。



その後、長老から林業政策による森の景観の変化や、適切な森林管理の重要性について話をうかがいました。長老の「この森は人類の財産である」という言葉が強く印象に残りました。かつて杉を植えて経済林にしようとしたものの、思うように育たず、そこに生えてきた台湾固有の植物や雑木を守る森へと考え方を変えたといいます。自然を人間の都合に合わせるのではなく、その土地にある生態系を活かしていくことの価値を学びました。

サイシャット族が山に入る前に自然の神へ祈り、恵みに感謝する姿から、自然と文化が深く結びついていることを実感しました。自然は私たちの生活から切り離されたものではなく、人の暮らしや文化を支えてきた存在であると改めて感じました。




午後には、サイシャット族の方々をお招きし、私たちが学んだ成果と感謝を伝える報告会を行いました。林下経済を支える養蜂の工夫や「願い網」の自然信仰、BAKASANで実践した自然由来の解決策(NBS)の石積み、聖地での自然共生の精神など、実習を通して学んだことを振り返りました。

フィールドワーク中は言葉の壁があり、自分の思いを十分に伝えきれないもどかしさを感じていました。しかし報告会では、日中バイリンガルのチームメイトの通訳を通じて、現地の方々が私たちの言葉にじっくり耳を傾け、深く頷きながら受け止めてくださり、その姿が非常に印象に残りました。


今回のフィールドワークを通して、自然・伝統・地域社会が一体となったサイシャット族の暮らしに触れ、文化継承とは、助け合いの中で日常として紡がれていくものだと実感しました。「将来、森を介した取り組みで一緒に仕事をしよう」という長老の言葉に応えられるよう、今回の学びを土台とし、今後の継続的な交流と実践へつなげていきたいです。