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2018.12.25

犯罪学研究センター(CrimRC)おすすめシネマ No.6 「クリスマス・キャロル」

不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?


「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)では、学生のみなさんが「犯罪学」にふれる第一歩として、ぜひ鑑賞して欲しい作品を紹介します。
不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?

紹介作品:
『クリスマス・キャロル』
1977,イギリス
監督:モイラ・アームストロング

クリスマス・イヴの夜に現れたのは、サンタクロースでもトナカイでもない。
かつての友人の亡霊と、過去・現在・未来の亡霊たちだった。


◆あらすじ:
作品の舞台は19世紀の英国。ロンドンの下町で商売をしているエベニーザ・スクルージは、強欲で、エゴイストで、守銭奴で思いやりのない人物として嫌われていた。7年前に亡くなった共同経営者のマーレイの副葬品であるお金を持ち去るほどの強欲ぶりだった。そんなクリスマス・イヴの夜、マーレイの亡霊が現れる。彼は、三体の亡霊が今から現れること告げ姿を消す。その後、スクルージの前にあらわれたのは、過去・現在・未来の幽霊たちだった…。

◆見どころ:
当時の英国は、都市部における貧困や経済格差が問題でした。家族揃って夕食を囲み、街中でクリスマスを祝福する。このようなクリスマスの古き良き習慣や光景が廃れていた時期でもありました。そんな時代のなか、英国の文豪チャールズ・ディケンズは、クリスマスの現状や社会問題に一石を投じるために「クリスマス・キャロル」を書きました。そして、この小説の大ヒットを機に、英国では本来のクリスマスの光景が戻ってきたのです。これまで幾度も映画化され、世界中の人々に愛されてきました。

本作品は、亡霊の働きかけにより人の内面や行動が変化していきます。人は中々変化をすることができません。これは、犯罪学の世界でも同じです。ある研究では、街路犯罪者は同じ地域や路地の一角で犯罪を繰り返すというデータがあります。このデータは、犯罪者も同じ人間であり、人は中々変化を伴うような新しい行動を起こせないことを示しています。
人が変化する大きな要素として「危機感」があります。一般的に、人は外部の人間による働きかけや大きな出来事によって「危機感」を抱くものです。本作品では、人が「亡霊」によって「危機感」を抱くところに面白さがあります。はたして、スクルージは亡霊たちと自分の人生を見つめ直し、何を思ったのでしょうか?ラストは心温まる展開が!クリスマスを迎えるたびにぜひご覧いただきたい作品です。

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【シネマ鑑賞者のコメント】(※一部抜粋)
・応報と悔悟がテーマだったのでしょうか?大変考えさせられました。
・映画内において、金と自分のことしか考えない老人が誰にも死を悲しんでもらえない幻影を見て改心していく様を見て、資本主義が人情を殺すとこうなるという警告が込められているように感じた。

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