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2019.03.05

犯罪学研究センター(CrimRC)おすすめシネマ No.7「デッドマン・ウォーキング」

不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?


「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)では、学生のみなさんが「犯罪学」にふれる第一歩として、ぜひ鑑賞して欲しい作品を紹介します。
不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?

紹介作品:
『デッドマン・ウォーキング』
1995,アメリカ
監督:ティム・ロビンズ

死刑囚を救うために、行動し続けたシスター・ヘレンの感動秘話。
これを機に死刑制度の是非について考えてみませんか?


◆あらすじ:
ニューオリンズの貧困地区で働くシスターのヘレンは、あるきっかけで死刑囚のマシューと面会する。仲間と若い男女を惨殺したのがマシューの罪状であるが、共犯者である仲間は無期懲役であった。なぜ自分だけが死刑に...と罪を認めず強がるマシューであるが、ヘレンとの対話の中で変化が現れる。そして、遺族の非難を浴びながらもヘレンは死刑執行回避に奔走する。しかし、ヘレンの尽力も虚しく、マシューの死刑執行日が確定する。それでも、彼女はカウンセラーとして、マシューと最後まで共に過ごすことを決意するのであった。

◆見どころ:
本作品は、ヘレン・プレジャンの同名ノンフィクション作品を映画化したものです。ヘレン・プレジャンは、死刑囚の精神アドバイザーを務めた経験を基に、「デッドマン・ウォーキング」を書き上げました。死刑囚の精神アドバイザーの役割は、死刑囚と毎日数時間を共に過ごし、その心を癒すことです。死刑の当日は付きっきりで、本人の死を最期まで見届けます。精神的な面で自らが起こした罪の償いをし、反省を促す重要な役割で、経験がなければ難しい任務です。しかし、ヘレンは、マシューとの出会いも自身の役割も、神が与えた運命だと考えます。ヘレンは、マシューが最後を迎えるまで、「愛」を持って向き合うことに努めます。彼女の努力と勇姿は、観る者の心を打つに違いありません。
また、本作品は、死刑廃止派に焦点を当てるだけでなく、死刑賛成派の意見も描かれています。作中では、ヘレンが被害者遺族の方と向き合い葛藤する場面もあります。死刑制度の是非は永遠のテーマともいえます。
2016年、内閣府の世論調査では、死刑はやむを得ないという意見が80.3%、死刑を廃止すべきという意見が9.7%でした。日本では、未だに死刑存置の意見が根強いのが現状です。理由としては、被害者遺族の感情、犯罪の抑止力などが挙げられます。しかし、死刑には「冤罪」の問題が潜んでいることも忘れてはいけません。本作品を機に、死刑制度の是非について考えてみませんか?


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【シネマ鑑賞者のコメント】(※一部抜粋)
・死刑制度について改めて考える良い機会になってよかった。いつも被害者の立場から死刑制度について考えることが多いが、この映画では加害者側の家族の視点もあったので色々と考えさせられた。
・この映画を初めて見させていただきました。死刑制度は、いくつかの講義でも学び、何度も考える機会がありました。この映画を、間のあたりにしたとき、死刑制度のリアリティとともに、もう一度日本での死刑制度は、一人一人の国民が考えなくてはならないと思いました。国として「人の命を奪う」ということ。一人でも多くの人にこの映画をオススメしたいと強く思いました。

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