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2019.03.19

犯罪学研究センター(CrimRC)おすすめシネマNo.9「女は二度決断する」

不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?


「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)では、学生のみなさんが「犯罪学」にふれる第一歩として、ぜひ鑑賞して欲しい作品を紹介します。
不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?

紹介作品:
『女は二度決断する』
2017,ドイツ
監督:ファティ・アキン

愛する夫と息子を突然失ったカティア。彼女が下した決断とは。
ドイツで実在した連続テロ事件を名匠ファティ・アキン監督が映画化。


◆あらすじ:
ドイツ、ハンブルク。カティアは、トルコ系ドイツ人の夫ヌーリと息子ロッコと幸せな日々を送っていた。ある日、カティアはロッコをヌーリの事務所に預け、親友とスパに出かける。夕方、スパから帰ってきたカティアは、信じられない光景を目にする。夫と息子がいるはずの事務所が焼き焦がれ、瓦礫の山と化していたのだ。二人の安否を願うカティア。
しかし、警察の捜査により夫と息子が事故で亡くなったことが判明する。絶望の中、生きる気力を失いそうになりながら、カティアはある決断を下すのであった。

◆見どころ:
本作品は、ハンブルクなどで2000~2007年に、トルコ系ドイツ人や外国人が爆弾テロなどで相次ぎ死傷した事件をもとに作られています。警察やマスコミは、トルコ系ドイツ人の抗争かトラブルだと主張していました。しかし、2011年に真相が解明します。実行犯は「国家社会主義地下運動」で、ヒトラーが率いた「国家社会主義ドイツ労働者党」にも似たネオナチ極右集団でした。事実とは違う主張によって、無実のトルコ系ドイツ人は、事件以上に怒りをあらわにしたのです。
近年、ヨーロッパ諸国では、極右政党の台頭により移民の排他運動であるヘイト・スピーチやヘイト・クライムの社会問題が起きています。また、多数の民間人が犠牲になるテロもあとを絶ちません。本作品を機に、海外で起きている人種問題を背景とした事件に、関心を抱いていただければ幸いです。
さて、本作品は三部構成となっています。第一部は「家族」、第二部は「正義」、第三部は「海」です。それぞれのタイトルには、どのような意味が込められているのか、映画を通して考えていただきたいです。また、主演女優であるダイアン・クルーガーは、本作品で第70回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞しました。彼女が演じるカティアが孤独になりながらも、ある決断のために生きる姿に注目ください。

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【シネマ鑑賞者のコメント】(※一部抜粋)
・「女は二度決断する」、そのタイトル通り二度決断した。一つは罪人(仮)の殺害を。もう一つは自身の自殺を。
・犯罪は決して許される行為ではないし、それを簡単に許してしまう世の中にしてはいけないと感じた。
・無罪の判決が出たときはなんとも言えない気持ちになりました。
・疑わしきは罰せずは、被告を保護するが被害者の感情までは保護しない例だと思った。
・ラストシーンが衝撃的で、テロについて考えさせられる内容でした。
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