2019.03.29
【龍谷IP】「英語力の向上を目指す多読指導」初年度取組・成果報告【教養教育センター 英語科目部会】
2018年度より「英語力の向上を目指す多読指導」として、瀬田学舎3学部(理工学部・社会学部・農学部)の必修英語の一部クラスにおいて、多読を実施しています。
多読とは、英語で書かれた本(主にLeveled ReadersやGraded Readers)を、難易度の低いものから比較的高いものへと段階的にレベルを上げながら、細部を気にせずに全体の内容を把握しつつ、とにかくたくさんの英文を読むという学習方法で、学生が主体的に取り組むことが可能です。
読むことが多読学習の主体ですが、話すことや書くことといったアウトプット技能の向上にとっても大量のインプットは有効であり、また音声教材を併用することによって聞く力の向上も見込まれます。
本プロジェクトの目的は、多読を通して英語のインプット量を増やし、それにより学生の英語力の向上を図り、国際的なコミュニケーション能力の涵養に資することにあります。
プロジェクトの初年度を終え、一年間の取組状況および成果について以下の通り報告します。
【取組状況】
1.3030冊の多読図書を購入し、瀬田図書館地下1階に排架しました(絵本、昔話、学園もの、恋愛もの、犯罪もの、ミステリー、科学や生物を題材にしたノンフィクションまで、多くの学生の興味・関心に応えられるよう、幅広く取りそろえています)。
2.1年生の必修英語科目「英語I」および「英語II」の12クラス、約200名の学生が多読学習に取り組みました(授業の20~30分を図書館での多読学習に充て、その間学生は自分のレベルと興味・関心に見合った図書を自主的に選択し、辞書を使わずに、日本語に訳さずに、ひたすら読み進めます)。
3.年度の最初と最後には、多読の成果を測るためのテストを実施しました。
4.年度の最後に、多読についてのアンケートを学生と教員ともに実施しました。
5.6月と11月には教員対象の多読FD研修会を開催し、多読指導法や事例について学びあう機会を持ちました。
【成果】
1.多読テスト
年度の最初と最後を比較すると、3学部ともにクラス平均点の伸び(1.9点から4.5点の上昇)が認められ、伸び率は109.5%から122.3%でした。個々の学生の結果を見ると、10点以上点数を上げた学生も少なくなく、中には20点近く伸びた学生もいました。総合的な読解力を問う多読テストでの好成績に、多読学習の成果の現れが認められます。
2.学生対象多読アンケート
多読学習についての率直な感想を問うたところ、「英語を読む楽しさに気づいた」、「抵抗感が軽減された」との回答が多く見られました。また、「単語力がついた」、「読むスピードがあがった」、「(知らない単語の意味を)推測する力がついた」など、読解力の向上を示す回答も多く見られ、まさにそれがこのプロジェクトの目的であったことを考えると、この上なく好ましい結果です。「多読学習によって達成感や充実感を得られた」、「意欲が向上した」、「興味が広がった」などの意見は、授業での多読学習によって、今後も自力で英語学習を続ける自信がついたことを示しているものと思われます。
3.教員対象多読アンケート
多読指導を行った教員の意見として最も多かったのは、学生の主体的な学習への取り組みを評価する意見でした。次に指摘が多かったのは、「英語への抵抗感の軽減につながった」、「読むスピードが上がった」、「語彙力が向上した」といった意見で、教員も学生の英語力の向上を実感できていたことが分かりました。また、「英語での読書習慣がついた」や「英語学習の必要性を自覚し、勉学意欲を示した学生がいた」といった回答からは、授業内での多読学習終了後も自発的に英語学習を継続する学生が出てくることが期待できます。
2019年度以降は多読学習の対象クラスを拡大し、瀬田図書館地下1階の多読図書もさらに充実させていきます。惜しくも対象クラスから漏れた学生、あるいは授業外でもっと多読をやりたいという学生のために、貸出用図書も用意しています。多読という英語学習法を通して、英語力向上を目指すとともに、英文を読む楽しさを知り、異なる社会・文化を学ぶことで、自分の世界を大きく広げて欲しいと考えています。
英語科目部会では、本プロジェクトが本学の教養教育のさらなる充実に資するものとなるよう、引き続き取り組んでいきます。