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2019.05.15

龍谷経営人(びと)田中 和哉さん

 経営学部で輝いている学生を紹介する龍谷経営人(びと)、今回は経営学部 4年生 田中さん(鳥取出身)をご紹介いたします。
 「地域との繋がりがないな。」大学生になって、一人暮らしを始めた方なら何となく思うのが、そのような印象ではないでしょうか。田中さんは、そんな若者の小さな疎外感を地域の大きな力へと変えようという人です。

大学内の一般公募により、市営住宅への入居へ
 田中さんは、この4月に田中宮市営住宅に引っ越しをしました。単なる引っ越しではなく、「龍谷大学,田中宮市営住宅自治会及び京都市による公共空間利活用と周辺地域活性化に係る連携協定」によるものです。


田中 和哉さん

龍谷大学,田中宮市営住宅自治会及び京都市による公共空間利活用と周辺地域活性化に係る連携協定とは
 京都市の広報資料によれば「龍谷大学の学生が市営住宅に入居し,暮らしながら自治会活動にも参加することで地域コミュニティの活性化を図る事業を実施する。(中略)公営住宅において,大学,公営住宅自治会及び行政が経常的に会議体を設置し,学生と共に団地コミュニティの活性化を図る,全国で初めての取組。」とあります。
 この協定により田中さんは市営住宅に住み、その団地の自治会とタッグを組むことでコミュニティを活性化させることを目的にされています。


協定式で鍵を授受される様子

なぜ応募しようと思ったのか。
 「きっかけは家賃が安かったことです(笑)。2019年2月頃にポータルサイトでこのプロジェクトの公募がありました。件名が同じ田中なので、自分のことかなといった気軽な感覚でメッセージを読むと、非常に興味深い内容でした。」そんな感覚で気軽に申し込む田中さんは鳥取県の出身。彼自身、一人暮らしをはじめた京都での生活に違和感を覚えたそうです。「地元ではご近所の方と挨拶するのが普通だし、野菜のやりとりとか、良くも悪くも噂がたちまち広まる、そんな付き合いが好きでした。ですが、一人暮らしをはじめて、こちらの地域の方とかかわる機会ってそんなにないんだなと思いました。地元京都のリアルを知りたいですね。」潜在的に京都のコミュニティに興味があったそうです。
 また、所属するゼミ(経営学部藤岡ゼミ)で招かれた講師の鈴木美央さんの話に共感されたそうで、「マーケットで街をつくるといったテーマだったと思いますが、共感することが多く、地域で生きるというヒントをいただき今後の活動に生かしていきたいと感じました。」

自分を変えた就職活動、そして本との出会い。
 「3年生になった途端に就職活動を開始しました。ベンチャー企業等がむしゃらに応募しましたが、自分を偽って書いている志望理由書にだんだんと前向きになれずいました。」悩んでいる田中さんは友人に相談したそうです。「一冊の本を借りました。その本はアドラーの心理学にもとづくものでした。それから価値観が変わり、なんとなく気が楽になりましたね。それ以降は自己啓発本、ビジネス書等を読んでいます。」本を読むことで、心に余裕を持てたという田中さん、それと同時に色々なことに興味がもてるようになったそうです。
 実は就職先がまだ決まっていないという田中さんですが、インタビュー中も一切その焦り等を感じさせませんでした。「勿論、少しの焦りはありますよ。でも納得いく会社で志望動機も偽りのないようにしたいです。昔のようにがむしゃらにということはないですね。」

今後の方針、やりたいことは。
 「今回、私の他に龍大生2人の居住者がいます。この市営住宅にお住まいの皆さんに私たちの存在を知ってもらいたいので、どのように進めるか計画しているところです。自治会でもソフトボール大会や、夏祭りがあるそうなので、準備からしっかりと関わっていきたいと思っています。」そう言う田中さんは今、市営住宅で少しずつ増えてきたご近所さんと挨拶することが喜びだそうです。また、自治会長からお誘いがあり、藤森祭のお手伝いもされ、早速溶け込んでいる様子です。
 田中さん自身の目標としても、将来は学生図書館カフェを運営されたいそうです。「就職活動やインターンシップで経験したことを同世代の学生と共有したいですね。今の就職活動もよくよく見たら、就活生は受動的なのではないかと思っています。また、本との出会いから、図書館も併設できたらなと思っています。」


藤森祭での様子

最後に、後輩に向けて
 「毎日15分で今日のすることを整理するとよいですよ。小さな目標みたいに思ってもらったら結構です。例えば、何時何分に起きる、バイトに行く。といった当たり前のことですが、文字化して自分で達成した記録を残すことで小さな自信がつきます。それを積み重ねることで、大きな自信に繋がるんだと思っています。大きな事業でも細分化して、小さな目標の達成の連続で成り立っているので、そう理解してトライして欲しいですね。」と即座に実践できそうなコメントを頂きました。

 田中さん、インタビュー中はずっと笑顔だったのが印象的でした。就職先も決まって残りの授業も数えるくらいで、さぞかし自分の好きな活動をされているのかと思いきや、そうではなかったことに驚きました。就職が人生のすべてではないこと、今までの経験や読書で得た知識から自信があるのでしょう。人が好きという田中さん、きっと田中宮市営住宅やその近隣で有名人になっているのかもしれませんね。「一人暮らしの大学生が地域で育まれる。」そんなモデルケースが想像でき今後が楽しみです。
 田中さんは、ツイッターで自身の思ったことを発信されているのだそうです。気になった方はアカウント田中和哉(@Supw1356)で検索してみてください。