2019.06.20
犯罪学研究センター(CrimRC)おすすめシネマNo.11「BOX 袴田事件 命とは」
不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?

「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)では、学生のみなさんが「犯罪学」にふれる第一歩として、ぜひ鑑賞して欲しい作品を紹介します。
不朽の名作から社会問題を考えてみませんか?
紹介作品:
『BOX 袴田事件 命とは』
2010,日本
監督:高橋伴明
袴田事件を基にした元ボクサーと元裁判官の物語
◆あらすじ:
1966年6月30日未明、静岡県清水市で味噌製造会社専務の自宅が放火され、一家4人が殺害された。静岡県警は、従業員で元プロボクサーの袴田巌を容疑者として逮捕。巌は犯行を頑強に否定していたが、拘留期限3日前に一転自白。熊本典道は、主任判事として、この「袴田事件」の裁判を担当することになった。
しかし、巌は裁判で犯行を全面否認。典道もまた長時間にわたる取調べや、供述が二転三転することから警察の捜査に疑問を抱き始める。
◆見どころ:
本作品の見どころは、2人の主人公です。一人は無実であるにも拘わらず、死刑判決を言い渡された巌。過酷な取調べによる自白、証拠の捏造。これらの要素が判決に影響をおよぼし、巌は人生の大半を拘置所で過ごすことになります。
もう一人は主任判事である典道。典道は一貫して有罪判決に反対の立場を取っていました。しかし、3人の裁判官のうち反対は典道だけで、多数決により有罪判決に。さらに慣例により、主任判事である典道が、死刑判決を言い渡す判決文を書くことになります。「人を裁くということは、同時に、自分も裁かれるということ」。典道は、自分の出した判決を背負い、苦悩に満ちた半生を送らざるを得ませんでした。
2014年、静岡地裁が、袴田事件の再審開始と死刑及び拘置の執行停止を決定。しかし、2018年、即時抗告審で、東京高裁は、静岡地裁決定を取り消し、再審請求を棄却しました。袴田巌さんと弁護団は、いまもなお再審開始決定のために闘っています。
あなたなら裁くことができますか?人を裁くことの困難さ、命の尊さを描いた傑作。
