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2019.07.26

実践真宗学研究科FD研究会の実施【文学部】【実践真宗学研究科】

 2019年度第2回実践真宗学研究科FD報告会を実施しました。実践真宗学研究科FD委員長 那須英勝先生から次のとおり報告いただきました。

 2019年7月24日午前11時30分より約1時間の間、大宮学舎西黌2階大会議室において、「政策学研究科における履修証明プログラムについて」と題して、龍谷大学副学長、政策学部教授 白石 克孝 氏報告者として、2019年度龍谷大学実践真宗学研究科FD研究会が行われた。
 現在、政策学研究科では、キャリアアップや再チャレンジを目指す現職職業人や大学院生に対し、研究科修士課程科目を体系的に編成した履修証明プログラムが開講され、それを通して研究科の教育・研究プログラムの活性化につながる優れた実績をあげられている。本FD研究会では、この政策学研究科の履修証明プログラムの取り組みについて、ご紹介いただき、社会人等に対する多様なニーズに応じた体系的な教育、学習機会の提供を促進する履修証明制度の活用について、「地域公共政策士」資格教育プログラムにおける、具体的な実践の例を通して学びを深める機会となった。つづいて参加者全員で、本研究科の教育・研究プログラムの中でも、このような履修証明制度の活用の例を参考にして、地域社会との連携・展開を深めていける可能性について、意見交換をおこなった。
 まず初めに、白石氏より2016年4月より、法学・政策学・経営学の学内の3つの大学区院の共同運営研究プログラムの修士課程としてスタートした「公共人材総合研究プログラム」の成り立ちと、その中で政策学研究科を中心に運営されている「地域公共政策士」資格教育プログラムの現在の運営の状況が紹介された。
この地域公共政策士とは、地域公共人材開発機構(以下COLPU、(http://www.colpu.org/colpu-biz3.html)によって認定される、京都発の地域資格として、大学間連携をとおして、2011年度から本格運用が始まったものであり、政策学研究科では、地域公共政策の担い手に求められる能力を「地域形成能力プログラム」「<つなぐ・ひきだす>対話議論能力プログラム」「環境まちづくり能力プログラム」の3つの資格プログラムと、キャップストーンプログラム(現地調査などの活動をチームで実施し、現実の問題に対して提言を行う)が開講され、これにCOLPUが提供する特別講義を修了してすることによって資格の申請が可能となる。
 本資格はEUの教育・職能資格で用いられているEQFレベル(European Qualifications Framework)を参照して、履修科目のレベルに合わせたポイント制を採用し、また修士課程以外にも「科目等履修」によっても資格を得ることができるようになっている。また政策学研究科では上記の3つのプログラムを修了することが、地域公共政策士の資格認定につながるのみならず、学校教育法にもとづく「履修証明制度」にも対応しており、各プログラムを修了することにより、龍谷大学が認定する「履修証明書」の交付を受けることができるようになっていることも現役の社会人の受講者を惹きつける一つの魅力となっていると述べられた。
 また政策学研究科で運営されているこれらの3つのプログラムのユニークな点は、従来の大学院のプログラムが研究者養成の視点に偏りがちであるのに対して、このプログラムの開講科目は、現役の社会人のニーズに対応するために受講者目線でカリキュラムが構築・運営され、また受講修了時に獲得することが期待される能力が、具体的な「アウトカム」として明示することにも注意が払われていることである。また受講者の多くがNPO団体、自治体、議会などにおいて、地域公共人材として地域政策の現場で活動しているということもあり、開講形態も平日の6・7講時や土曜日の1・2講時に多くの科目を開講するなど、現役の社会人のライフスタイルに合わせて受講・修了できるよう配慮されており、年齢の比較的若い社会人の入学者が多い一つの理由となっている。
 また本プログラムの修了生が地域社会で活躍することを通して、NPO団体からなど関係諸機関の中でプログラムの魅力が共有されつつあり、また修了生同士のネットワークの構築も進んできており、それが安定して一定数の入学者を確保することにつながっているようである。今後の展開としては、現在、EQSを参考にしてレベル分けをはかることで、学部のプログラムとの連携も考えているということである。また学内の入学者希望者への門戸を広げるために、学内推薦制度によって他学部からの推薦者の受け入れを可能ににしている。
 以上の白石氏のご報告を受け、参加者全員で、積極的な意見交換が行われた。特に実践真宗学研究科で、現在運営されている「認定臨床宗教師」資格認定プログラムや、「スピリチュアルケア師」の資格認定プログラムなどをさらに活性化させ、大学院入学者の確保につなげるために、政策学研究科での実践を参考にして、資格認定に対応する開講科目のレベル分けやポイント制の導入や、龍谷大学が認定する「履修証明書」の交付ができる履修証明プログラムを導入する可能性を検討することが話し合われた。
 最後に、鍋島の直樹研究科長より、本日の報告と提言を踏まえて、各種NPO団体などと連携し、地域社会で活動する現役の社会人にもアピールできるような教育プログラムの新たな展開についても、これから具体的な検討を始めたいという方針が示され、研究会を終了した。    (報告: 実践真宗学研究科FD委員長 那須英勝)


講師:龍谷大学副学長 白石 克孝 政策学部教授


司会:実践真宗学研究科FD委員長 那須英勝 教授




実践真宗学研究科長 鍋島直樹 教授