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2019.09.18

京都・宗教系大学院連合(K-GURS)2019年度第10回院生発表会の実施【文学部】【文学研究科】【実践真宗学研究科】

 2019年7月27日に龍谷大学大宮キャンパスで開催された京都・宗教系大学院連合(K-GURS)2019年度第10回院生発表会で、実践真宗学研究科修了生(現在龍谷大学文学研究科真宗学専攻博士後期課程1年生)の中川結幾(なかがわ ゆい)さんが「次世代につながる寺院活動の研究―評価体制の構築を観点として―」をテーマとした研究発表を行いました。実践真宗学研究科 那須英勝先生から次のとおり報告いただきました。

 近年、寺院活動は様々な形へと展開され、仏法が現代の社会や人々へより伝わりやすくなるためにはどのような寺院活動が必要なのか模索がなされています。中川さんは、実践真宗学研究科での学びと、その後の自身の宗教者をしての実践活動を踏まえて、「それでは一体、何をもって寺院活動がなされているといえるのであろうか。また、自身が行っている寺院活動の状態を把握し、その上でよりよく寺院活動を展開していく術はあるのだろうか」という問題意識を持って、今年度から本学大学院文学研究科博士課程に進学しました。
 本研究発表で中川さんは、寺院活動が真宗伝道である以上は、真宗教義の上にみられる「伝道」の理論は当然重要な要素であり、その理論を踏まえた上での研究でなければならない。しかし、従来の文献学的・思想的研究を主とした真宗伝道学では包摂することが容易でない領域がある点をふまえ、そのうえで、先駆的に評価体制を持っている他法人への聞き取りや、実践的に寺院活動に取り組んでいる当事者への聞き取りなどの調査実習を中心にして、寺院活動の活動領域を整理し、他の公益法人の評価体制と比較をしながら寺院活動の評価方法を探り、そのことでもたらされるであろう活動の拡充と発展を考察していくことが必要であることを指摘しました。
 仏法伝道の拠点である寺院の中で行われる寺院活動に対する社会からの「信頼」がその存続の鍵となるのであり、そのためには「第三者評価」を導入することも重要となっていくだろうとし、それが現在のお寺のステークホルダーが寺院に対して「信頼」をもつことにつながっていくと論じました。しかし、すべての寺院が「第三者評価」を受ける必要性があるのではなく、「第三者評価」を行うことでの意義と課題を考慮し、その意義を発揮していくためには「第三者評価」に縛られることなく、それぞれの寺院にあった形の評価の体制を構築していくことがより理想的だと言えるとして発表を締めくくりました。
 中川さんの宗教実践と研究活動については、毎日新聞の『いのち追う』の「京できょうを生きる」38・39・40・41でも取りあげられています。

【参考URL】
京都・宗教系大学院連合(K-GURS)
2019年度第10回院生発表会
毎日新聞の『いのち追う』の「京できょうを生きる」38・39・40