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2019.10.31

【犯罪学CaféTalk】玄 守道教授(本学法学部/犯罪学研究センター「性犯罪」ユニット研究員)

犯罪学研究センター(CrimRC)の研究活動に携わる研究者について、気軽に知っていただくコーナー「犯罪学CaféTalk」。研究の世界に馴染みのない方も、これから研究者を目指す学生の皆さんにも、是非読んでほしい内容です。
今回は、玄 守道教授(本学法学部/犯罪学研究センター「性犯罪」ユニット研究員)に尋ねました。
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Q1. 玄先生にとって研究とは『知りたいことの解明』ということですが、その思いとは?

「本当に単純です。自分が知りたいこと・解明したいことがあって、それをなんとか本を読みながら考えて、結果を出すということの繰り返しです。もちろん1つの論文で答えが出るわけでもないですし、10年経ったから完全に解明できたとは思いませんが、その時々で自分が知りたい、もっと深く追求したいことを調べて、自分なりの結論を出すということです」


Q2. 研究の仕事に就きたいと思われたのはいつ頃ですか?
「僕は元々、ほんの一瞬ですけれども弁護士になりたいと思っていました。なぜ弁護士になりたいと思ったかというと、強い動機があったわけではなくて、要するに会社勤めが無理だと思ったんです。散髪に行きたくないし、髭もこんな感じなので…(笑)」
「でも司法試験の勉強は向いていないなと思いました。僕はどちらかというと一つの問題に対してずっと考えてしまうんです。ただ、本を読んだりすることは好きですし、自分が疑問に思ったことをずっと考えること自体は好きだったので、そこから研究者になろうかなと思いました。周りの先生の服装もバラバラだったので、研究者を目指しました」


Q3. 刑法を好きになったのはどういう時ですか?


「刑法に対して特に好きとか、得意だと思ったことはないです。未だに苦手といえば苦手で、他の分野の方が楽しいと言えば楽しいかもしれないです。それに、職業としてやっているという面もあります。論文を書くからには一定の成果を出さないといけません。その産みの苦しみというか、やっていくうちに『そもそも自分は何がしたかったんだろう』とか、『もう論文は嫌だ』とか、一つの論文のゴールに至るまでいろんな紆余曲折があります」
「僕はくよくよ考えるタイプなので、なかなか進みません。お酒に走って痛風になります(笑)そうなるとさらに研究ができない、悪循環に陥ります」

Q4. 大学入ったばかりの法学部の学生にどのように刑法の面白さを伝えていますか?
「基本、僕は伝えていないです。どちらかというとガリガリやる人よりは、くよくよ考えて他のゼミを落ちてくるような人と一緒にものを考えるということを僕はしたいです」

Q5. 実務ではなく研究という立場で携わることでどのようなアプローチができると思いますか?
「実務家である裁判官と刑法学者の何が違うかというと、裁判官の場合は起きた問題に対する解決として妥当な結論を与えるために条文解釈をします。なので、全体のバランスをあまり考えていません。とりあえず、1回ごとの事件に対する適切な解決さえ与えられればいいわけです。それに対して研究者は、全体のバランスを見ながら、刑法というものがどういうもので、条文がどういう並びで、問題の波及効果も見ながら、一番最適な解釈がどのようなものなのかを考えて出します。なので、1つの結論を出す際の、そのプロセス・視点が違います」

Q6. 最後に、玄先生のこれからの目標を教えてください。
「とりあえずさしあたりは、本を出さないといけないので。出版助成を申請して、うまくいけば来年度には出す予定です。仮題は『刑法における未必の故意に関する研究』です。出版されたら、まずは指導教員だった生田勝義先生(立命館大学・名誉教授)、もう一人の指導教員の松宮孝明先生(立命館大学法務研究科教授)、あとは最後に村井敏邦先生(龍谷大学・名誉教授)に読んで欲しいです。僕の中ではこの三人がお世話になった先生なので、『非常に遅くなりましたけれどもありがとうございました』と、見せたいという気持ちがあります」



玄 守道(ひょん すど)
本学法学部部教授・犯罪学研究センター「性犯罪」ユニット研究員
<プロフィール>
本学法学部教授。研究分野は刑法で、主に、刑法上の故意概念(故意の認定、未必の故意など)に関する研究が中心。犯罪学研究センター「性犯罪」ユニットでは、2019年3月に特別講演会「韓国の性暴力犯罪に関する法と政策の現況と展望」の企画・進行を務めた。
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-3417.html