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2019.12.03

2019年度大学院実践真宗学研究科実習報告会の開催【文学部】【実践真宗学研究科】

 11月7日、龍谷大学大宮学舎清和館3階ホールにて実践真宗学研究科実習報告会が開催されました。実習報告会とは、実践真宗学研究科の3年次生がそれぞれの研究の過程で行なった実習や調査の結果をまとめ、研究科の内外へ報告をする場です。
例年、各ゼミから代表で1名がスライドショーソフト等を用いながら報告しています。今年は宗教実践分野の2ゼミ、社会実践分野の2ゼミの計4人がそれぞれの実習について報告しました。
 報告者と研究テーマは以下の通りです。また、2年後に発表することとなる1回生による報告レビューも併せてご参照ください。

藤山厚慈(ふじやま こうじ 葛野ゼミ)    
「アメリカにおける真宗伝道の研究―meditationを手掛かりとして―」
最初の発表者である藤山さんは、現在の海外開教の現状を実際に現地で視察し、それぞれの寺院で行われている活動や実際の様子を発表してくださいました。藤山さんは北米開教における真宗伝道の変容について研究を進められており、今回は特にアメリカ仏教の特色であるメディテーション活動を多数の寺院で視察されたそうです。
今回の発表の中で一番印象的だったのが、北米開教区の開教使(僧侶)に聞き取り調査をし、その中でメディテーションに対する意識調査が行われたことです。メディテーションに対して好意的な印象を持つ開教使は8割を超えたにもかかわらず、実際に寺院活動として行なっている寺院は全体の半数にも満たないという結果であると報告してくださいました。やはり専門家ではないことや、メディテーションを行うことで教義への誤解を与えてしまう危惧が実施されない要因となっているようです。しかし、その反面、メディテーションに対する需要があるのも事実で、課題は諸々あるようです。同じ海外伝道を志すものとして大変興味深く発表を聞かせて頂きました。
【1回生 安武】
写真1

岡至(おか いたる 中村ゼミ)
「寺院と動物の保護を調べる −アニマルシェルターへの訪問―」
岡さんは、動物保護施設(アニマルシェルター)が寺院との関係を構築することで何か問題解決できないかということを目的に、実習に行かれました。
まず、アニマルシェルターとはアメリカを発祥とし、迷子や飼育放棄などにより行き場を失った動物や、不適切な飼育環境から保護が必要となった動物たちを収容し、保護と人道的な処置を行う動物保護施設ということだと述べられていました。
そして、日本でもそのような取り組みがあり、寺院が地域の中での繋がりの一つとなる可能性を感じたそうです。寺院とアニマルシェルターの人の間の情報の行き来が円滑にでき、さらに保護活動の存在を多くの人に認知してもらい、動物についての相談も受け付けることが出来るようになれば良いのではないかと実習を通して考えられました。いのちを大切に守っていくことのできる環境の構築は、寺院とシェルターの両方の目的です。寺院でも動物たちのより良い生き方の一助となることが出来るということをまとめとし、報告されていました。
【1回生 三神】
写真2

山田 正業(やまだ しょうごう 鍋島ゼミ)
「医療者が捉える宗教者の役割 ―緩和ケア領域の視点から―」
山田さんの発表では、①緩和ケアの現場において医療者と宗教者が協同していけるのか、②宗教者にはどのような役割が期待されるのか、について報告されていました。この研究では、緩和ケアに携わる医療者にアンケートやインタビュー調査を兼ねて実施、量的かつ質的なアプローチをしています。
医師からは「傾聴やカンファレンスでの情報共有や価値観の提供して欲しい」また「患者さんやその家族の凝り固まった固まった価値観を変えてもらいたい」など。
看護師からは「病院でカフェ等、患者さんや医療スタッフが気持ちを話せる場を、もっと提供してほしい」ということが求められているとわかったということです。現場において、宗教者を求めている医療者は多いということが良くわかりました。今後の研究が楽しみです。
【1回生 柳田】
写真3

宇野 淳成(うの じゅんじょう 貴島ゼミ)
「真宗における寺院活動の課題と展望―寺カフェにおける寺院活性化の考察―」
個人的にカフェがとても好きなので、興味をそそられる実習報告の内容でした。私自身、「寺カフェ」というものを見たことが無かったので、動画で紹介してくださったのは、イメージの湧く良い手法でした。聞き取り調査の結果では、比較ができるように都心にある寺カフェと過疎地にある寺カフェという2つを取り上げていた点が印象的でした。ただ、浄土真宗本願寺派の「寺カフェ」の数が少ないという点で比較が難しいことや、「寺カフェ」と仏縁の関連性に関する考察、また地域の人々(檀家さん)の声など、自分が実習に行くときの課題などを多く学ばさせていただきました。
【1回生 佐々木】
写真4

 全員の発表後にゼミ担当教員の貴島先生、中村先生から丁寧な総評と一人ひとりに向けてのコメントがなされました。発表者にとっては、これまでの実習に対する手応えや修士論文の執筆に向けての課題を得られ、また参加者は実践真宗学における課題を見いだせる、大変有意義な場となりました。
写真5、6


写真1 藤山厚慈(ふじやま こうじ 葛野ゼミ)


写真2 岡至(おか いたる 中村ゼミ)


写真3 山田 正業(やまだ しょうごう 鍋島ゼミ)


写真4 宇野 淳成(うの じゅんじょう 貴島ゼミ)


写真5 貴島信行教授


写真6 中村陽子教授