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2019.12.05

無実の祖母はなぜ「犯人」にされたのか 虐待とえん罪の狭間で言い渡された無罪判決を 弁護団と共に振り返るシンポジウム <12/16(月)18:00〜 大阪駅前第4ビル23階にて>

【本件のポイント】
・世界的潮流の中で注目の「揺さぶられっ子症候群(SBS)」1)と「虐待による頭部外傷(AHT)」は、法学・医学・児童福祉などの分野・状況で見直しが迫られている
・SBSをめぐる医学論争が激しさを増す中、2019年10月にSBSが疑われた事案(山内事件)について大阪高裁の控訴審で無罪判決が下され、日本におけるSBS理論への警鐘を鳴らす判決になった
・今回のシンポジウムは、山内事件について関わった弁護団とともに振り返ることで、本件におけるえん罪の原因を明らかにすることを目的としている

【本件の概要】
 龍谷大学 犯罪学研究センター2)「科学鑑定」ユニットは、SBS理論(硬膜下血腫,網膜出血,脳浮腫の三徴候があれば「揺さぶられっ子症候群」である可能性が高いとする理論)の科学的信頼性の検証を中心に研究しています。同ユニットでは、その嘱託研究員が共同代表を務めるSBS検証プロジェクト(SRP)3)を研究面から支援してきました。
 今回、12月16日(月)、リファレンス 大阪駅前第4ビル23階 2307会議室において、『無実の祖母はなぜ「犯人」にされたのか』と題し、SBSによる虐待が違われた山内泰子さんの事件に関わる弁護団およびSBS検証プロジェクト(SRP)と公開シンポジウムを共催します。
 近年、子どもを揺さぶって虐待したとされて親が逮捕・起訴されて有罪判決を受けたり、親子が分離されたりする事案が日本全国で相次いでいます。しかし、アメリカやイギリスをはじめとする諸外国では、SBS の理論的根拠等を疑問視する見方が1990年代以降強まりつつあります。子どもを揺さぶって死亡させたとされる虐待事案も、諸外国においては有罪判決が見直されるというケースも増えています。
 生後2か月の孫を揺さぶって虐待し、その後死亡させたとして、2017年10月2日に大阪地方裁判所で懲役5年6月の実刑判決を言い渡された山内泰子さん。その後、控訴審の弁護団が調査をした結果、お孫さんには静脈洞血栓症という病気があった可能性があることが明らかになりました。そして、2019年10月25日、大阪高等裁判所(村山浩昭裁判長)は一審判決を破棄し、山内さんに無罪判決を言い渡しました。村山浩昭裁判長は「SBS理論を単純に適用すると、機械的、画一的な事実認定を招き、事実を誤認するおそれを生じさせかねない」と異例の言及をしました。
 今回のシンポジウムでは山内さんの事件を弁護団とともに振り返ることで、本件におけるえん罪の原因を明らかにし、社会に警鐘を鳴らします。
*参考:大阪高等裁判所令和元年10月25日判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/029/089029_hanrei.pdf

【概 要】

1. 
内容:《公開シンポジウム》無実の祖母はなぜ「犯人」にされたのか ―SBSえん罪・山内事件を振り返る―

日時:2019年12月16日(月)18:00〜20:00 (開場17:50)

場所:リファレンス 大阪駅前第4ビル23階 2307会議室 (〒530-0001 大阪市北区梅田1丁目11-4)

定員:100名(予約不要)、参加無料

プログラム:
 開催趣旨   陳 愛 弁護士(大阪弁護士会・SRP)
 弁護団報告  我妻路人 弁護士(大阪弁護士会・SRP)
        秋田真志 弁護士
        (大阪弁護士会・SRP共同代表・犯罪学研究センター嘱託研究員)
        辻 亮 弁護士(大阪弁護士会)

 おわりに   笹倉香奈 教授
        (甲南大学法学部・SRP共同代表・犯罪学研究センター客員研究員)
 司会     古川原明子 准教授
       (龍谷大学法学部・SRP・犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット長)
        宇野裕明 弁護士(大阪弁護士会・SRP)

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2. 主催:山内泰子 さん弁護団|SBS検証プロジェクト(SRP)

3. 
共催:
龍谷大学犯罪学研究センター「科学鑑定」ユニット|えん罪救済センター(Innocence Project Japan)|甲南学園平生記念人文・社会科学研究奨励助成「児童虐待事件における冤罪防止のための総合的研究」

4. 用語解説
1)揺さぶられっ子症候群(SBS)
「揺さぶられっ子症候群(SBS)」とはShaken Baby Syndromeの略で、1970年代に英米で提唱。硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫の三徴候は、激しく子どもを揺さぶることで生じるという仮説。日本においても、児童相談所における虐待判断、警察の捜査や裁判で多く採用されていますが、近年、海外ではこの仮説を疑問視する裁判例が相次いでいます。
最近では「虐待による頭部外傷(AHT, Abusive Head Trauma)」という包括的な名称も用いられます。

2)龍谷大学 犯罪学研究センター
「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。実証的な犯罪学研究は19世紀後半のヨーロッパで始まり、現在、欧米諸国の総合大学では「犯罪学部」として学問・研究分野が確立されており、多様な社会ニーズに応える人材を多く輩出しています。
龍谷大学 犯罪学研究センターは2016年6月に発足。建学の精神を具現化する事業として、犯罪予防と対人支援を基軸とする龍谷大学ならではの「人にやさしい犯罪学」の創生に向けた研究と社会実装活動を展開しています。

3)SBS検証プロジェクト(SRP, SBS Review Project Japan)
法学研究者や弁護士が中心となって立ち上げたプロジェクト。SBS理論の問題点を検証するとともに、SBS理論に基づく誤った訴追と考えられる案件に対しては、えん罪の防止・救済のための支援活動を行うことを目的としています。
https://shakenbaby-review.com/

5. 補足:
・本イベントの詳細・フライヤーは、龍谷大学 犯罪学研究センターHP上に掲載。
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4560.html




問い合わせ先 : 
   龍谷大学 犯罪学研究センター  [Tel]075-645-2184 [Fax]075-645-2240
   [E-mail] crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp [URL] https://crimrc.ryukoku.ac.jp/