Need Help?

News

ニュース

2019.12.25

「政策実践・探究演習 福知山・守山プロジェクト」1年間の学びと「まちづくり仕掛人」最終報告会実施【政策学部】

 2019年12月10日(火)2講時に、「政策実践・探究演習(国内)」の最終報告会を実施しました。福知山・守山プロジェクトはトップバッターとして壇上に上がり、代表メンバーが1人ずつ報告しました。以下がその内容です。これに対し、連携先である福知山市と守山市から市民協働担当者の方3名が参加くださり、学生の報告への温かいコメントをくださいました。学生からは次年度のFT・FG研修を守山市の市民ファシリテーターの方々と合同でやりましょうと提案し、担当者の方からは、是非やりましょうとコメントいただきました。本当に1年間お世話になり大変感謝しています。
 2月のスタディツアーでは、市民の方向けに最終報告を行う予定です。
 以下、学生の報告内容を紹介します。

(一部抜粋)
【まちづくり仕掛け人とは】
 次に、今年度の私たちの学びからまちづくり仕掛け人を定義します。
まちづくり仕掛け人は、2種類に分けることができ、「小さな仕掛け人」と「大きな仕掛け人」に分けられます。
 私たちには、その地域に住む誰もがまちづくり仕掛け人になれる可能性を秘めていると考えています。この潜在しているまちづくりの心を持った仕掛け人となりうる人々に対して、小さな仕掛け人や大きな仕掛け人が、「きっかけ」を与えます。それにより、地域への興味・関心、潜在するまちづくりの心を引き出します。まちづくりの心を引き出された人々は小さな仕掛け人への一歩を踏み出し、そこから関わりを深めて成長していきます。このように仕掛け人の与える効果はすぐに現れません。長い時間を掛け、漢方薬のようにじわじわと効いて来ます。
 小さな仕掛け人と大きな仕掛け人の違いについて説明します。小さな仕掛け人は、潜在的なまちづくりの心が完全に引き出され、意識的にきっかけを与える役目を持ち始めた段階。そして、大きな仕掛け人は、一般の人(潜在的仕掛け人)にきっかけを与えるだけでなく、小さな仕掛け人のまちづくりの力を高めさせる役割を持ちます。これによってまちづくりが好循環していくと考えます。 以上が私たちの考えるまちづくり仕掛け人です。
それぞれ人口増加、人口減少の課題はありますが、まちづくりをするための人材は必ず潜んでいるはずです。しかし、なぜまちづくりが衰退してしまっているのでしょうか。それは、住民たちが消費者側になりきってしまい、主体性を欠いてしまっていると考えられます。

【熟議について】
 課題から、市民自ら主体的にまちづくりに取り組み、持続可能なまちづくりを行なっていくことが必要とされています。それでは、何故話し合いの場を形成することになったのでしょうか。 話し合いの持つ意義とは、こちらの図をご覧下さい。この図の縦軸は、上に行けば行くほど熟議が高まり、右方向に寄っていけば話し合いの対象者は、幅広い市民に属する指標になります。
 そもそも熟議とは? 例えば、皆さんが何か会議など決まりごとを議論する中で立場が上の人からの威圧的な意見、他人の意見を否定し自分の意見を通そうとしていた人など、当該発言者以外の他者の意志、考え、思いなどを考慮されることなく、ある一つの意見が一方的にその議論の結果に導かれた経験をされたことはないでしょうか? 熟議は、この例とは反対に、その会議に参加している人達が一方的な意見に流されることなく、互いに議論を交わし、より良い意見の一致点を探っていくものです。
 では、再びこの図に話を戻します。こちらに現状の福知山市・守山市の市民参画の方法を分類したいと思います。
 このように自治会など限られた市民による熟議的な意見、市民アンケートのように幅広い市民の粗野な意見、それらの中間に属する市民参画が存在しますが、熟議かつ幅広い市民に開かれた市民参画の機会がないことが確認出来ると思います。この空白のエリアを補うために、福知山次世代ワークショップ、市民懇談会があります。
幅広い市民が話し合うよりも地域に詳しい、または愛着を持った特定の市民の熟議による話し合いの方が上手く意見がまとまるだろう。既存の市民参画でもまちづくりは可能だろう。別にこの空白を埋める必要はないはずだ。と、思われる方がおられるかもしれません。確かに、それでもいいのかもしれません。
しかし、熟議には、負の側面も存在します。アメリカの憲法学者であるキャス・サンスティーンは「特定の同じ思想をもった集団による熟議は集団極化現象を引き起こす」と述べています。これによって、偏った意見が生み出される可能性があることを否定出来ません。また、考え方の幅を狭めることになってしまうことが考えられます。
それでも、幅広い市民であっても、熟議を行っているならば空白のエリアで同様のことが起こるだろうと考えるかもしれません。しかし、空白エリアを補う話し合いの場に参加する市民は無作為抽出による方法で参加を促しています。この方法によって多様な意見を持った市民を話し合いの場に参加させることができ、意見の偏りを防いでいます。また、この話し合いの場では、グランドルールを設定し、円滑な議論を進めています。
このような話し合いの場で、ミニ福知山市、ミニ守山市を作り出し、新たなまちづくり仕掛け人を『漢方薬のようにじわじわと効くような』、時間を掛け、生み出していくきっかけを作っています。
(中略)

【学びのまとめ】
 それでは、今年度の私たちの学びを整理したいと思います。
一つ目、話し合いにおける熟議の理論。二つ目、FT・FG、話し合いの場において市民の意見を引き出す能力の習得。三つ目、実際に話し合いの場へ参加し、市民の考えや思いに触れ、市民視点から見るまちのあり方。四つ目、行政との意見交換や連携を確認し、行政視点から見るまちのあり方。これら、大きく見て四要素を学ぶことが出来たと考えます。
これにより、私たち学生は、冒頭のまちづくり仕掛け人の定義に当てはめると小さな仕掛け人に属することになります。今後、今回受講した学生はここで終わるのではなくて、理論・実践・多角的な考え、を得たことを足掛かりに、大きな仕掛け人へステップアップしていかなければなりません。
(以上、報告より)


1年間のプロジェクトの学びをまとめた最終報告会でのプレゼンテーション


1年間のプロジェクトの学びをまとめた最終報告会でのプレゼンテーション


福知山市の担当者の方からコメントをいただきました。


守山市市民協働課の担当者の方お二人からもコメントをいただきました。


守山市市民協働課の担当者の方お二人からもコメントをいただきました。