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2020.01.16

「動き始めた世界の薬物政策」をテーマにシンポジウム アメリカの薬物政策問題のパイオニア イーサン・ネーデルマン氏が 薬物使用が犯罪か を語る <1/25(土)13:00〜 龍谷大学深草キャンパスにて>

【本件のポイント】
・1月25日(土)にアメリカの薬物政策問題の第一人者であるイーサン・ネーデルマン氏(「4.登壇者プロフィール」参照)を龍谷大学深草キャンパスに招へいし、公開イベントを開催
・世界的な潮流が「薬物使用の非犯罪化(犯罪として処理することを止めようという動き)」へ向かう中、日本での刑事司法に拠らない政策、薬物依存症者へのアプローチの可能性について論考
・ソーシャル・インクルージョン1)を目指して、つまずきからの回復支援のあり方を、課題共有型(課題解決指向型)円卓会議“えんたく”を通じて検討・共有


 龍谷大学 ATA-net研究センター2)は、2020年1月25日(土)、アメリカの薬物政策問題の第一人者であるイーサン・ネーデルマン氏を本学深草キャンパスにお招きし「動きはじめた世界の薬物政策 薬物使用と非犯罪化〜わたしたちは、どうするのか?〜」と題した公開イベントを開催いたします。
 当日は、イーサン・ネーデルマン氏の講演、ライター・ジョー横溝氏(「4.登壇者プロフィール」参照)との対談につづき、会場参加者と課題共有型(課題解決指向型)円卓会議“えんたく”3)を実施。薬物依存症という、つまずきからの支援のあり方、地域社会とのつながりを、教育や社会福祉関係者と共に考える機会とします。
 いま世界では大麻の合法化が進んでおり、嗜好・医療目的で合法化する国や州の数は、月単位で増え続けています。薬物をはじめとした依存問題の本質は、当事者の健康や社会の保健衛生です。そこで大切なのは、本人と地域社会の健康被害を最小限に低減させることです。このような被害を極小化するという視点から薬物政策を考えるアプローチを「ハーム・リダクション(harm reduction)」4)と言います。現在、欧米では多くの国が社会的な支援策としてこの考えに基づく施策を導入しています。一方、日本では覚せい剤や大麻、コカインなど、違法薬物の事件報道が時おり世間を騒がせるものの、薬物依存症は治療が必要な病気である点や、薬物依存症者の回復に不可欠な支援があることは、あまり知られていません。
 今回のイベントは、石塚伸一教授(龍谷大学法学部・ATA-net研究センター長・ATA-net 代表)が中心となり開催いたします。石塚教授の長年にわたる依存症からの回復を支援する研究プロジェクトの成果を反映した内容となっております。
 アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存問題の状況を克服するためには、嗜癖・嗜虐行動の原因やメカニズムついて正確な知識をもち、当事者や家族の回復を適切に支援する支援者が増え、互いに協力し合う必要があり、その点を考える良い機会でもあります。


【概 要】

1.名称:龍谷大学ATA‐net研究センター キック・オフ・シンポジウム
 日時:2020年1月25日(土)13:00~18:00(開場12:00)
 場所:龍谷大学 深草キャンパス 和顔館 B201号室
    (〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67)

2.プログラム:
 13:00-15:00  第1部 動きはじめた世界の薬物政策
  〔挨拶〕指宿信 教授(成城大学/同治療的司法研究センター長)
  〔趣旨説明〕石塚伸一 教授(龍谷大学/同ATA-net研究センター長/ATA-net 代表)
  〔講演〕「薬物使用と非犯罪化—再使用と回復支援−」イーサン・ネーデルマン氏
  〔対談〕「いま、あなたに問う〜薬物使用は、犯罪か?〜」
       イーサン・ネーデルマン氏&ジョー横溝氏
 15:00-15:20  休憩
 15:20-17:30  第2部 課題共有型“えんたく”
  テーマ「メディアスクラムとソーシャル・インクルージョン
      〜当事者の位相、支援者の位相、協働の位相〜」
  [センターテーブル]
  後藤弘子 教授(千葉大学/摂食障害・クレプトマニア班)
  藤岡淳子 教授(大阪大学/性問題行動班)
  加藤武士 氏(木津川ダルク/保護司/ATA-net研究センター招聘研究員)
  近藤恒夫 氏(日本ダルク/ATA-net 顧問)
  古藤吾郎 氏(日本薬物政策アドボカシーネットワーク事務局長
         /ソーシャルワーカー)
 17:30-18:00 閉会
  〔挨拶〕
  中村正 教授(立命館大学/ATA-net暴力行為班)
  西村直之 氏(認定NPO法人RSN/(一社)日本 SRG 協議会代表理事
         /ATA-net ギャン ブリング班)
  市川岳仁 氏(NPO法人三重ダルク/精神保健福祉士/保護司
         /ATA-net 物質依存班)
  橋元良明 教授(東京大学/ATA-net インターネット・携帯電話班)
  横田尤孝 氏(NPO法人アパリ顧問/弁護士/長島・大野・常松法律事務所顧問
       /元最高裁判所判事/元法務省矯正局長・保護局長/ATA-net顧問)

補足:下記URLより申込制・参加無料
 https://ata-net2020-01-25.peatix.com/
 ※同時通訳(通訳機器はお申し込みの方優先)・ニコニコ動画生配信予定

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3.主催:龍谷大学ATA-net研究センター / JST・RISTEX(社会技術研究開発事業)「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」領域「多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築」ATA-net
 共催:龍谷大学 犯罪学研究センター / DARS(Drug Addicts Recovery Supports)

4.登壇者プロフィール
イーサン・A・ネーデルマン(Ethan A. Nadelmann)氏
 ニューヨーク生まれ。ハーバード大学で博士号を取得。政治学者としてプリンストン大学で教鞭を執り(1987-1994)、リンデスミスセンター(1994-2000、ジョージ・ソロス氏からの資金的援助を受けて設立された薬物政策研究所)を創設後、ドラッグ・ポリシー・アライアンス(DPA)を創設し、2000 年から2017 年まで代表を務めた。


 アメリカ月刊誌「ローリング・ストーン」では、薬物政策改革運動の「先鋒」であり、「真の薬物政策の指導者」と紹介され、80 年代後半からアメリカをはじめグローバルに、薬物政策改革運動の主要な役割を担ってきた。
TED トーク「なぜ私たちは薬物との戦争を終わらせる必要があるのか」は、近々200万ビューに達し、日本語を含めた28 言語に訳されている。

ジョー・横溝氏
 ライター、ラジオDJ/MC。2017 年まで『ローリングストーン日本版』シニアライターを務める。2019 年 1 月まで『DAYS JAPAN』編集長を務める。現在は、音楽はもとより、ファッション、カルチャー、社会問題に関するインタビュー・取材・執筆も行い、新聞、雑誌、WEB メディアでの連載・執 筆 も 多 数。ラ ジ オ DJ と し て InterFM897 『THE DAVE FROMM SHOW』『LOVE ON MUSIC』他にレギュラー出演中。MC としてニコニコ動画でレギュラー番組 2 本『ジョー横溝チャンネル』『深堀 TV』を持つ他、『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』をはじめとするロックフェス、音楽イベントや討論番組の MC も担当している。著書に「FREE TOKYO~ フリー (無料) で楽しむ東京ガイド 100」「ボブ・ディラン語録―静寂なる魂の言葉」『永遠の言葉 LUNA SEA』他。

5.用語解説
 1)ソーシャル・インクルージョン
 ソーシャル・インクルージョン(英:social inclusion)は、1980年代にヨーロッパで興った政策理念で、社会的に弱い立場にある人々を排除・孤立させるのではなく、共に支え合い生活していこうという考え。「社会的包摂・包容」等と訳されます。
 2)龍谷大学 ATA-net研究センター
 2016年10月から2019年9月まで2年間、JST・RISTEX(社会技術研究開発事業)から支援を得て研究を行ってきたプロジェクト「安全な暮らしを作る新しい公/私空間の構築」研究開発領域「多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築」(ATA-net)をベースとし、2019年6月、研究拠点である龍谷大学において、ATA-net研究センターを立ち上げました。同研究プロジェクトは「嗜癖・嗜虐行動(アディクション)の背景には孤立という共通の背景がある」と考え、社会的な孤立の病としてのアディクションの解決に向けた公私関係の再編に取り組んでいます。 
また、ATA-netは、本年よりJST/RISTEX「研究開発成果定着支援事業」に採択され、今後は、事業実施主体はATA-net、協働実施者を龍谷大学ATA-net研究センターとして協力して事業を展開していきます。
 3)えんたく
 アディクション当事者(嗜癖・嗜虐行動のある人)の主体性をもとに、当事者をとりまく課題をめぐる情報をもつ多様なステークホルダーと参加者が集まり、話し合いを通じて課題を共有し(あるいは課題の解決を目指し)、緩やかなネットワークを構築していく話し合いの場。ATA-net(代表・石塚伸一)では、この「課題共有型(課題解決指向型)円卓会議」を「えんたく」と名づけ、さまざまなアディクション問題解決に役立てることを目指しています。
 4)ハーム・リダクション(harm reduction)
 文字通り「被害を減らす」ことを目的とした施策。その根底として、個人の違法薬物の所持や使用を罰するだけでは使用者やコミュニティへの悪影響は減らず、問題解決にならないという考えがあります。国際的なNGO「Harm Reduction International」は、「薬物の使用問題において、必ずしも使用量が減ること/使用を中止することを目指すものではなく、使用による健康・社会・経済的な悪影響が減少することを目指す政策、プログラムとその実践」と定義しています。

6.補足:
・本イベントの詳細・フライヤーは、龍谷大学 犯罪学研究センターHP上に掲載。
 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-4692.html

問い合わせ先 : 龍谷大学 ATA-net研究センター  
         Tel 075-645-2184 FAX 075-645-2240
         E-mail ata-net@ad.ryukoku.ac.jp  URL https://ata-net.jp/