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2020.03.12

国際学部・国際文化学部 卒業式 学部長祝辞

国際学部・国際文化学部卒業式祝辞


 国際学部・国際文化学部を代表いたしまして、一言お祝いを申し上げます。3名の国際文化学部卒業生の皆さん、国際学部国際文化学科315名、グローバルスタディーズ学科110名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 また、これまでお育ていただいた保護者の方々のお慶びも一入のことと存じます。あらためて敬意を表しますとともに、心よりご卒業おめでとうございますと申しあげます。
 さて、今回は、1996年に瀬田学舎に開設された国際文化学部として2000年に最初の卒業生を送り出してから21回目、2015年に深草学舎に移転・開設された国際学部として2回目の卒業式となります。
 本年度、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大にともない、卒業式が開催されなかったことは、本当に残念でなりません。一生に一度しかない大切な機会を、友人や教職員との大切な時間を共有できなかったことは、確かに残念でしょう。しかし、式典は開催されませんでしたが、今まさに卒業という実りの時期を迎えられましたことは、紛れもない事実です。
 入学した頃のことを思い起こしてください。どのような思いをもってその日を迎え、入学式に臨まれたでしょうか。おそらく失敗も挫折もなく今日の卒業を迎えたという人はおられないのではないでしょうか。本当にやっていけるのか、本当に卒業までたどり着けるのか、とネガティブに思った人もいるかもしれません。あるいは、第一志望で入ったのに自分の思いと違っていたとか、勉強が思うように進まない時もあったかもしれません。第二・第三志望で入ったとしても、最後まで充実しきって学修を進め、本日を迎えた人もいるかも知れません。
 仏教の喩えに「担板漢 たんばんかん」があります。板を肩に担いた男の人という意味ですが、この人は、例えば右肩に板をかついでいるために、右側の町の様子が見えず、左側の町の様子だけでこの町全体を判断するような愚かさをたとえています。物の一面しか見ないで全体を見たと考えると、誤解や争いが起こってきます。とかく、私達は、自己中心的な考えによって、自分本位の世界を作り上げがちです。そのことによって、他人をさげすんだり、見下したりすることもあります。逆に自分のことを必要以上に卑下して劣等感に悩まされたりします。そのような一面的な見方をするのではなく、別の見方、広い視野を持って他人や周囲を見ることが大切だと思います。
 一見マイナスに見えるものも、決してマイナスではなく、プラスに転じることができるのです。円錐が、見る位置によって三角形にも円形にも見えるように、視点が変われば別の面が見えてきます。長い間小学校の教員を務められ、ペスタロッチ賞などを受賞された東井義雄という方が、次のようなことばを残しておられます。

「心のスイッチ」
人間の目は、ふしぎな目、
見ようという心がなかったら、
見ていても見えない。
人間の耳はふしぎな耳、
聞こうという心がなかったら、
聞いていても聞こえない。
おなじように先生の話を聞いても、
ちっとも聞こえていない人がある。
ほんとうにそうだ、と、
腹の底まで聞く人もある。
おなじように学校に来ていても、
ちっともえらくならない人がある。
毎日、ぐんぐんえらくなっていく人もある。
今までみんなから、
つまらない子だと思われていた子でも、
心にスイッチがはいると、
急にすばらしい子になる。
心のスイッチが、人間をつまらなくもし、
すばらしくもしていくんだ。
電灯のスイッチが、
家の中を明るくもし、暗くもするように。

 学生生活での失敗や挫折は、必ず皆さんを成長させる糧となっていくはずです。今回の件も、皆さんの人生にとって意味のあることになればと思います。卒業後は、胸を張って龍大が、この学部が、「母校」であると言って欲しいと強く願っています。
 龍谷大学国際文化学部、国際学部の卒業生という誇りをもち、これからの人生の歩みを進めてください。


                            2020(令和2)年3月12日
                            国際学部長
                             三 谷 真 澄