Need Help?

News

ニュース

2020.03.19

龍谷大学と京都府が「犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する協定」を締結 ―官学連携による共生社会の実現をめざして―<協定に基づき2020年度より連携事業を展開>

【本件のポイント】
・龍谷大学は、2020年3月23日に京都府と「犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する協定」を締結する予定
・本学犯罪学研究センター1)の学術的知見を、犯罪者をとりまく実情や立ち直り支援の活動を伝えるハンドブックの作成や市民講座の開催を通じて京都府民に広く還元し、心豊かなコミュニティを形成することがねらい
・2016年「再犯防止推進法」2)の制定により、地方自治体においても再犯防止事業に関する法令の整備および事業計画の策定が求められていることが、今回の本協定を推進

【本件の概要】
 龍谷大学と京都府は、地域の防犯力の向上・再犯防止の取組および犯罪被害者等に対する総合的な支援に関して、2020年3月23日に協定を締結します。この協定の目的として、“誰もが犯罪の被害者にも加害者にもならず、安心して暮らせる共生社会の実現”を掲げています。
 日本では近年、犯罪や非行の繰り返しを防ぐ「再犯防止」が大きな課題となっています。とりわけ、欧米諸国と比較して受刑者の高齢者率が上昇傾向にあり、出所後に生活支援を得られずに窃盗などを繰り返す高齢累犯者が多いのが現状です。
 そこで、法務省の「再犯防止推進計画」は、罪を犯した人が自らの罪を悔い改め、犯罪や非行を繰り返すことなく、再び社会を構成する一員となるよう指導・支援することが重要だとし、現在、各地方自治体で再犯防止のための地域コミュニティでの福祉的支援について、さまざまな検討・取組が行われています。
 犯罪学は多様な学問領域から構成される学融的な学問です。その対象が犯罪や非行であるため、人びとの関心は、罪を犯した人の素質や環境、捜査手法、防犯対策に集中しがちです。そうした中で龍谷大学 犯罪学研究センターは、対人支援による再犯防止を目指しています。当センターでは、「人が日々の生活で抱える問題や失敗を“つまずき”という視点でとらえ、社会から孤立させないようにする。“つまずき”からの立ち直りには、地域社会における総合的な支援が必要」と考え、研究の社会実装に向けた諸活動3)を展開してきました。
 今回の協定締結に基づき、2020年度より京都における対人支援による再犯防止の実現に向けて、より学際的な知見の共有、支援者研修の実施、手引き等による情報発信を推進していきます。

1.協定概要:
(1)名 称: 「犯罪のない安心・安全なまちづくりに関する協定」
(2)締結者: 京都府・龍谷大学
(3)締結日: 2020年3月23日(月)

2.具体的連携事項
(1)「再犯防止」に係る府民理解の促進
 - 犯罪をした者等の実情や立ち直りを支える人々(保護司等)の活動内容を紹介し、息の長い支援につなげるためのハンドブックの作成
 - ハンドブックを活用した保護司等と地域住民との課題共有型(課題解決指向型)円卓会議“えんたく”
 - 中高生を対象とした法やルールの役割・意義を学ぶための模擬裁判の実施
 - 「矯正・保護課程カリキュラム」を活用した民間支援者等のスキルアップ研修

(2)薬物乱用防止対策の推進
 - 模擬裁判を活用した体験型薬物乱用防止対策の実施
 - 民間支援団体と連携した再乱用防止プログラムの実施

3. 用語解説
1)龍谷大学 犯罪学研究センター
「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。実証的な犯罪学研究は19世紀後半のヨーロッパで始まり、現在、欧米諸国の総合大学では「犯罪学部」として学問・研究分野が確立されており、多様な社会ニーズに応える人材を多く輩出しています。
2016年6月に発足した龍谷大学 犯罪学研究センターは、建学の精神を具現化する事業として、犯罪予防と対人支援を基軸とする本学ならではの「龍谷・犯罪学」の創生に向けた研究と社会実装活動を展開しています。

2)再犯防止推進法
2016年12月、「再犯の防止等の推進に関する法律(再犯防止推進法)」が公布・施行されました。「再犯防止推進法」第8条には、都道府県及び市町村は、再犯防止推進計画を勘案して、当該都道府県又は市町村における再犯防止等に関する施策の推進に関する計画を定めるように努めなければならないと規定されています。
犯罪学研究センター「政策評価」ユニット(ユニット長 浜井浩一教授/本学法学部)は、エビデンスに基づく社会実装活動として、本法律に関わる地方公共団体の政策評価と立案に協力しています。(奈良県・奈良市・北海道・奄美市)
参照:法務省「再犯防止推進対策」 http://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00038.html

3)犯罪学研究センターにおける研究の社会実装に向けた諸活動(一例)
【模擬裁判を通じた中高生の非行防止教育】
犯罪学研究センター「法教育・法情報」ユニットは、裁判員裁判時代の法情報・法教育の理論構築とその実践を目的として、広く一般市民に向けた法教育の普及活動を行ってきました。2019年8月8日には京都府との官学連携企画として、本学・深草キャンパスにおいて「京都府 体験型薬物乱用防止学習(模擬裁判)」を開催しました。
【犯罪の当事者をまじえたワークショップの継続開催】
犯罪学研究センター「治療法学」ユニットを中心に、元受刑者や保護司、ダルクや更生保護法人、行政関係者、近隣住民等、地域のさまざまな立場にある組織や個人が課題を共有する円卓会議「えんたく」を継続的に実施しています。



問い合わせ先 : 龍谷大学 犯罪学研究センター  
  [Tel]075-645-2184 [Fax]075-645-2240
  [E-mail] crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp [URL] https://crimrc.ryukoku.ac.jp/