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2020.05.29

新入生の不安を減らそう!GS学科全専任教員が参画、「オフィスアワー」や「雑談の場」をオンラインで提供する仕組みとは…【国際学部グローバルスタディーズ学科】

オンラインで実施している「バーチャルコーヒーブレイク」の様子。雑談をする学生や、雑談を聞きながら課題に取り組む学生など、キャンパス内で見られた光景が戻ってきている。

 




■新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止に伴い、龍谷大学では、前期の授業をすべてオンライン化することを4月8日発表した。多くの大学教員が「オンラインでどのように授業をすすめるか」について議論する中、龍谷大学国際学部グローバルスタディーズ学科(GS学科)では、オンライン授業に早期から取り組むことと並行して、オンライン化に伴ってキャンパスに来ることができない新入生の不安を解消するための対応にも注力し4月から取り組んできた。そのひとつが「バーチャルコーヒーブレイク」だ。これまでの取り組みと、今後の展開について、同学科の2020年度初年次教育担当である河合沙織准教授に話を聞いた。




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――新入生へのこれまでの取り組みについて、順を追って教えてください。


◎河合准教授(以下 ◎)国際学部では、3月末に入学式やオリエンテーションが実施されないことが決まった時点で、学部の新入生に対して情報を発信する窓口を統一する必要性を確認し、学科ごとにmanaba(龍谷大学が導入しているLMS)に新入生共通コースを作成しました。3月中に、manabaの基本操作資料や、履修登録説明動画・各種問い合わせ窓口などを準備し、新入生共通コースに設置しました。 入学式が行われる予定であった4/1以降、学部長からのメッセージ動画や、GS学科主任からの新入生へのメッセージを新入生共通コースに掲載し、4/2には新入生が自由に質問できる場所(掲示板・メール)を設置しQ&Aを随時公開してきました。



情報発信の基盤となるLMS(manaba)の利用率が入学後1週間で9割を超えたことにより、オンライン授業の円滑なスタートにもつながった。





――9割以上の新入生がこの掲示板にアクセスし、Q&Aを参考にしていたそうですね?
◎教務課職員と協力して、できるだけ迅速な対応を心がけたことが功を奏したのかもしれません。そもそも、わからないことはどこで質問すればいいのか? というハテナに対して、新入生共通コースの質問窓口(掲示板・メール)で対応を統一したところから始まりました。受けた質問とそれに対する回答を新入生共通コース(manaba)で公開し、「ここに質問をしたら答えてくれる」過程を見せることで、質問しやすい環境をつくることも心がけました。それにより、例えば、授業開始前は「教科書の入手方法が知りたい」とか、授業開始後なら「オンライン授業での先生との連絡方法がわからない」など、時期によって新入生の聞きたい内容が変化していくことを逐次把握することができました。また、4/22の時点で一度もmanabaを見ていない学生に対して、担当教員からメールや電話で状況を確認することで、学生の状況を学科で共有して細やかに対応しました。これは、オンライン化への対応ということだけではなく、GS学科の教員は各学生に関する情報を共有して全員で学生を育てていくという意識が強いからだと思います。

――専任教員全員から新入生へのメッセージを公開したそうですね
◎GS学科では、毎年前期のはじめに教員自ら新入生に対して自己紹介・研究内容の紹介を行っています。対面型の授業が実施されていれば「我々(専任教員)が誰なのか、どんな人なのか」ということをキャンパス内で伝えることができますが、今年に限ってはそれが叶いませんでした。そこで、各教員の自己紹介を全員が同じフォーマットで、新入生へのメッセージとあわせて4/3に公開しました。GS学科では、学修上の相談から留学先の選択まで、GS学科で学ぶ上でどんなことでも相談できる担当教員「スーパーバイザー」を設けているので、「教員の顔」を覚えてもらうことも重要かと思い少し急いで実施しました。

――新入生間のヨコのつながりをつくるためには何をしたのですか?
◎これはすごく難しいポイントで、このような状況下で我々にできる・すべきことは正直よくわかっていません。とりあえず、GS学科の基礎演習にあたる「リサーチ方法論」では、新入生全員に「#(ハッシュタグ)」を使って自己紹介をしてもらい、写真付きの自己紹介をまとめてクラスごとに共有しています。クラス単位で授業をしていく上で、話題のきっかけになればよいと思っています。新入生間のヨコのつながりに関しては、GS学科の2〜4年生が協力してケアしてくれているので、彼ら・彼女らの活動にも期待しています。

――オンラインでの正課・正課外の取り組みはどんな状況ですか?
◎龍谷大学でのオンライン授業は、4月7日から5月10日の間に徐々に移行し、5月11日より本格実施となっていましたが、GS学科開講のクラスでは、いち早くオンライン化を進めました。2年生以上の講義科目の多くは第1週目(4/7)からオンラインで行っていますし、新入生の基礎演習「リサーチ方法論」も第3週目(4/22)からはオンラインで動き出しています。オンラインでの授業に不安を覚える学生がいることも想定して、4/8と4/15にはオンラインで新入生と教職員のQ&A・雑談タイムを設けました。教員・職員が参加することで、GS学科での学びの面でも、制度や手続きの面でもさまざまな質問に答えることができる体制をとりました。
 新入生だけでなくGS生全体の質問・相談に対応するため、2020年度前期のオフィスアワーはすべてオンラインで実施することにしました。4/25に各教員のオフィスアワーの曜講時をまとめてGS学科生全員に周知しました。
 オフィスアワーに加えて、「バーチャル コーヒーブレイク」をはじめました。キャンパス(和顔館)で授業が行われている場合の、ラウンジやコモンズで起こる立ち話や雑談に近いかたちのコミュニケーションをオンラインで実現すべく採用した取り組みです。教員と学生の距離が近いGS学科ならではという取り組みをオンラインでも実現することで、学生のみなさんのモチベーションを少しでも高めることができればと考えています。また、「コーヒーブレイク」をホストする教員と話すだけでなく、「コーヒーブレイク」に集まる学生同士のトークも大事にしています。課題をしながらBGM的に「コーヒーブレイク」を使うなど、キャンパス内での雑談に近い状況もちらほらみえています。


「バーチャルコーヒーブレイク」や「オフィスアワー」は、GoogleMeet、ZoomのようなWEB会議システムを活用。あらかじめ参加に必要な情報はmanaba(LMS)に掲示しており、学生は自由に参加できるようになっている。

――ゴールデンウィーク(GW)前に何か仕掛けたとのことですが?
◎前期の授業がオンラインで始まり、GS生同士のコミュニケーションも限られた中で、どうしたら連休を前向きに過ごしてもらえるかを考えました。そこでGS学科として「Staycation Award」と名付けた新たなイベントを実施しました。これは、GW前(4/25)に全GS生に対して、連休中「家で過ごす」期間を前向きに・ユニークに過ごすことを推奨し、GW後に内容を報告・表彰し、他のGS生が「家で過ごす」参考にする取り組みです。GS学科では、正課内外のさまざまな活動で活躍した学生を表彰する「GS Award」をおこなっています。今回の、「Staycation Award」への応募数が史上最多であったことと1年生の応募が多かったと聞いているので、GWを前向きに過ごす仕掛けとしてはうまく機能していたのかもしれません。


「Staycation Award」報告用シート。あえて記入見本は作らず、自由な発想でGWの素敵な家での過ごし方を報告してもらうことにした。

――ほかにも、ゴールデンウィーク中に何かしていたとのことですが?
◎GW中は、4年生が中心となってオンラインで新入生歓迎会を実施してくれました。2〜4年生がバランス良く運営に参加できるように学生が調整をして、5日間で7回のオンライン新歓を実施してくれたそうです。各回十数名、総勢百名以上の参加があったと聞いています。上級生はtwitterによる匿名での質問にも対応してくれていて、本当に力強い存在です。

―― 新入生からの反応はどのような感じですか? 
◎新入生がこれまでの取り組みについてどう感じているかを把握するために5/27にアンケートを行いました。一部を紹介すると

 

・早くからオンラインの授業を始めていただき、今は少しずつ慣れてきているので、他大学より早く授業を始めて頂いて嬉しい。オフィスアワーもしっかり相談に乗って下さり、気軽にオンラインで相談できるのでありがたい。

・高校時代の友達と大学について話すと龍谷がすごく生徒のために動いてくれていることを実感しました。Web図書館やコーヒーブレイクなど他の大学ではしてない取り組みがあってとてもありがたいです。

・ほかの大学では、課題のスタートが遅かったり、わからないことが多い中、GSではとても迅速な対応をしていて、さらに共通コースにさまざまな学生生活のサポートとなるようなものが提示されていて、とても心強い学科だと感じていた。

・入学当初よりは不安はなくなってきたと感じます。

(原文のまま抜粋。以下同様)

 

のような肯定的なコメントが集まり、ホッとしています。一方、

 

・やっぱりオンラインなので、課題をどういう風にするのかとか、友達同士で話し合ったりできないので、不便だなと思います。

 

など、オンラインならではのコミュニケーションの難しさを感じている学生も見受けられます。 また、

 

・新歓やリサーチ方法論で先輩方と話す機会もあって、早く大学に行きたい!って気持ちがどんどん強くなりました。

 

といった、今のオンラインでの経験を、近い将来、キャンパスでの授業が再開された際の学びにつなげて考えてくれている学生もおりました。


※ユーザーローカル テキストマイニングツール( https://textmining.userlocal.jp/ )でアンケート全文を分析。
ワードクラウド(スコアが高い単語を複数選び出し、その値に応じた大きさで図示。 単語の色は品詞の種類で異なっており、青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞、灰色が感動詞を表す。)

――今後の展開は、何か考えていますか?
◎学生目線で考えて、今の状況の中で一人ひとりが学修成果を最大化できるような仕組みや環境をつくることが我々の第一の使命だと思います。具体的な取り組みとしては、教員主催の「コーヒーブレイク」とは別に、学生主催の「コーヒーブレイク」を近いうちにおこなう予定です。教員主催では拾えない、学生同士で気軽に質問や相談ができる機会をつくることで、さらにキャンパスでの雑談に近づけばいいですね。学生と教員の距離が近いGS学科ならではの顔が見える取り組みを、オンライン化という制約の中でもできる限り工夫して、GS生一人ひとりの学修成果を最大化できるように取り組みたいと思います。


学生主催の「コーヒーブレイク」は、留学や課題の取り組み方のような学習に関する話題から、横のつながりを意識したものまで多様な話題を用意する予定だ。「どのようなタイプの学生も気軽に参加できるような場を用意したい」(河合准教授)

(インタビュ-ここまで)


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こうした取り組みの輪は、国際学部のもう一つの学科、国際文化学科(IC学科)にも広がりを見せている。同学科においても教員・職員が参加した「コーヒーブレイク」を5月1日に試行、新入生と様々な学年の学生との交流が実現できたことから、今後本格的に実施する。オンライン授業での対応がしばらく続く中、国際学部では、オンライン上で「コミュニティ」を作る取り組みを継続していく。




河合沙織准教授(専門:ラテンアメリカ経済)

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(文・国際学部GS学科・河合/国際学部教務課・中島)

【関連リンク】

国際学部グローバルスタディーズ学科第2期生が卒業  2期連続9割の学生が TOEIC®L&R 730点以上をクリア(1期、2期生)(4年間で平均344.4点UP、平均点15点UP)(5/22リリース)

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